大動脈弁二尖弁の患者さんは中学時代や高校時代にすでに弁逆流などが悪化して手術が必要となることがあります。
お若いだけに何としても弁形成で治したい病気です。というのはもしも弁置換になればそれが機械弁(金属の弁)であっても生体弁(ブタやウシの組織で造った弁)であってもさまざまな苦労が長期間つきまとうからです。
そしてもうひとつ、心臓手術で弁が良くなっても、胸の真ん中に大きな傷跡が残るというのはやはり心が痛むものです。
これから何十年もこの傷跡と向き合うストレスを何とかしたいと思うのです。
下記は大動脈二尖弁による大動脈弁閉鎖不全症に対してMICSで傷跡が小さく見えにくい形で弁形成を行った患者さんのお父様からのお手紙です。
患者さんはまだ中学生なのにみずから手術を決意し、頑張ってくれました。その間の苦悩は大変だったと思います。私は心臓外科医として、患者さんやご家族のご期待に沿うことができ、うれしく思います。これから楽しい青春や人生を歩んでください。私たちも及ばすながらサポートいたします。
**********患者さんのお父様からのお便り********
桜の開花で心浮き立つものがあります。
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12月の手術から3ヶ月。すっかり元の生活を取り戻しております。
いえ、むしろ大きな手術を乗り越えて、自信がついたのか、学校行事にも積極的に取り組んでいるように感じます。
本当に、米田先生に巡り会え、手術をしていただきよかったと感謝に絶えません。
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昨年、念願の中学校に入学でき当初、新しい環境に本人も不安があった中、ようやく慣れたと思った6月、学校の心臓検診で心雑音を指摘され近くの循環器を受診しました。すると、大動脈弁形成不全症、二尖弁症と診断され、将来的に手術の必要があると言われました。
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13歳の娘にとってこれから結婚や出産を考えたとき弁形成手術が最も有効な方法と言われたものの、九州では実績を積まれた先生はいないようで、診断を受けた循環器の先生は、「ネットでさがしてみてはどうでしょうか」とアドバイスを受けました。すぐに、調べ、東京の専門医を探しあて、受診。手術方法の説明は受けたもののご両親の納得するまで他の専門医の意見を聞かれてください。とのお話で、再度、ネットで探しておりました。
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すると、米田先生が、大東市で仁泉会病院でハートセンターを開設されたとの情報を目にし、受診したのは8月12日。診察後、すぐに米田先生に手術をしていただく決断をしました。
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大きな手術であったので決断をするのには思いっきりが必要だったかもしれません。しかし、ネットで、米田先生の実績や活動と常に新しい情報を学びつつ今なお前に進んでおられるという姿勢を知ったこともあったのですが、それ以上に診察でお話していただいたときの、丁寧なご説明とお人柄に私ども親も娘も命をお預けできると確信したのでした。
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もともと、学校の心臓検診で指摘される程度で、日常生活は普通に学校に行き、運動も学業も本人の頑張りで上位をいっていました。ただ、大きな行事があると、風邪をひきやすかったり、疲労感が強く学校を休んだりとかはあったものの特に生活に支障なく暮らしていました。
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診察時の心エコーでは二尖弁の逆流が激しいのはわかったのですが、周囲から本当に手術が必要なのと言われもしました。本人、普段はきついという事がないのです。しかし、これから娘の心臓で起こりうる心不全を考えた時、本人が元気なときだからこそ手術を受けよう。と思ったのでした。
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13歳で多くの状況がわかる年齢になった娘にとって米田先生の偽りのない、診察時のご説明や看護師さんの親切な対応に手術まで2回の受診でしたがいつも安心感を得て大分に帰宅できたものです。
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手術は野崎徳洲会病院でしていただいたのですが、米田先生ともゆっくりお話ができ、また、病院スタッフの方々もとても丁寧にせっしていいただきました。、手術後の環境も娘にとっては最高のもので栄養指導や心臓リハビリ等も受けることができました。これが、大学病院などの公的病院だったら娘にとって余計な不安があったかもしれないと思うこともあります。
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手術後、3ヶ月経ちすっかり元の生活にもどった娘ですが、以前よりも積極的にお友達とも楽しく遊ぶことができるようになり手術前以上に明るくなりました。手術という経験と米田先生という素晴らしい先生に巡り逢え、命を繋いでいただいたことが娘の何かを変えたような気がします。
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これは、まだ、娘の心臓のお付き合いの始まりです。作っていいただいた娘の心臓をこれから大事に大事に使っていき、時々メンテナンスをしていただかなければと思っています。長いお付き合いになりますが、素晴らしいスタッフの方々とまたお会いできる次の診察を楽しみに待っています。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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