皆様その後お変わりないでしょうか。
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高の原中央病院にかんさいハートセンターを2013年9月に立ち上げてから、多数の重症患者さんを含めた心臓病・血管病の患者さんたちを全国からお迎えし、その多くをお助けすることができました。
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心臓外科や集中治療の地盤のない、地方の一病院で突然ハートセンターを立ち上げていきなり全力投球状態で頑張って参りました。外来、検査、病棟、手術室、そして当初は存在もしていなかった集中治療室(ICU)、いずれも関係の皆さんの大変な努力で尽力いただき、救命実績を積みました。
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しかしそのなかで心機能や肺機能が極度に低下している方、再手術それも3回目ー5回目といった普通の病院では手がでない方々、有名な病院でも断られた方、さらにエホバの証人のような絶対無輸血が条件の方、90歳前後以上の超高齢の方、慢性腎不全と血液透析が高じて全身衰弱になっている方など、さまざまな患者さんを見放すわけには行かず救命努力したことがチームや病院を疲弊させてしまいました。
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昨今の安全管理の空気のなかではこうした重症例を避けるのが一般的になり、私もそれに従わねばならなくなりました。
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さらには週刊誌などで重症から逃げずに頑張り、多数扱っている良心的病院がひどく叩かれるという事態が2015年の4月に発生し、ますますこうしたケースの心臓手術に対する風当たりが強くなりました。
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そうした経緯でこれまで行って来た手術がやりづらくなり、せっかく病院機能の細部まで改良に改良を重ねて立ち上げたかんさいハートセンターに居る意味がなくなってしまいました。
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私の手術を受けて下さった患者さんたちには誠に申し訳ないのですが、奈良の地でアフターケアができなくなってしまいました。ただ、できるだけご迷惑がかからぬようにと、奈良から比較的近い大阪東部の仁泉会病院にて外来を開始することができました。心臓手術の方は大阪市東淀川区にある医誠会病院にて行っております。
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患者さん各位におかれましては、経過が良好でお元気に暮らしておられても定期検診でがっちり健康を守るという作業はお忘れないようにお願いします。
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そのためにその患者さんの手術内容を熟知している執刀医である私の外来で検診を受けて戴くか、遠方で行きづらい場合はせめて心エコーや血液検査のデータを私までお送りいただき、かかりつけ医とのチームで安全安心を確保していただければと存じます。後者の場合は高の原中央病院循環器内科の畏友・太田剛弘先生らがしっかり患者さんを守ってくれますのでそちらの外来でもご相談ください。
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私も次第にベテランになっていくなかで、永いおつきあいのある患者さんが増え、家族のような親しみが一層増し、また執刀医ならではの入魂姿勢のおかげか、さまざまな問題を未然に防ぐという貢献ができたケースがさらに増えました。
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今後も心の絆を維持できましたらこの上なくうれしいことです。
繰り返しになり恐縮ですが、何かありましたらいつでもご相談下さい。
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平成27年8月吉日(平成28年10月追補)
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米田正始 拝
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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