Aさんは10代半ばの女子高 校生でした。九州から来てくださいました。大動脈弁閉鎖不全症のため学生生活も制約が多く、ひとりポツンとかわいそうな状況でした。
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是非この病気を治してあげたいと思いましたが、大動脈弁形成術でないと患者さんはかえってお気の毒な状態になるのです。
つまりもし人工弁になってしまうと、それが生体弁では数年後には次の手術(10代での生体弁寿命は5年程度のことも)、機械弁ではスポーツの制限や将来の妊娠出産に赤ランプという状況で、大動脈弁形成術しかないという状況でした。
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しかもまだ少女ですので 、創はできるだけ小さくしてあげたい。心臓がいくら治っても、心に傷がついては何にもならない、そういう状況でした。
私も入魂の大動脈弁形成術をやらせて戴きました。Tシャツが着られる小さい創で。あとでご本人やご両親の笑顔に接して、安堵しうれしく思いました。これでのびのびと楽しい学生生活がもどれば最高です。
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しかもAさんはこの闘病経験のなかから、将来の進路として看護師を選びたいと言ってくれました。私たちのチーム医療に共感してくださってのことなら、これほどうれしい事はありません。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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