この秋に私の外来に来られたAさんは二尖弁の大動脈弁閉鎖不全症と上行大動脈拡張をお持ちでした。
弁の逆流は中等度ー高度で、ただちに手術が必要というほどではなかったのですが、上行大動脈のほうはすでに55mmを超えており、二尖弁の上行大動脈が弱いことを考えるとすでに手術適応でした。
破れるまでに治しておけば安全安心というわけです。
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二尖弁のこうした特徴がまだ周知されていないため循環器内科の先生が診ておられても上行大動脈のほうは認識されずそのまま放置になっていたのです。
やはり内科と外科で協力して診るのが良いのではと思いました。
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上行大動脈を手術する際に大動脈弁を放置するとどうなるでしょうか。上行大動脈置換術のあとまもなく、たとえば2-3年で二尖弁の手術治療になる恐れもあるのです。なので両方同時に治しました。
術後経過は良好で、まもなくお元気に退院されました。
傷跡も小さく目立たないミックス手術なので喜んで頂けたようです。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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