左室緻密化障害に対する左室形成術を初めて行ったのは15年ほど前のことです。
左室を開けると線維や肉柱だらけでとても左室として機能できない状態でした。これらのうち、悪いことをしている組織を切除し、薄くなった左室部分をパッチで形成して左室はきれいな形になりました。
手術のあとで世界初のものになったことを知りました。
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患者さんはその後もお元気に暮らしておられ、3年ほど前の患者さんの会にもご参加くださいました。お元気なお姿を拝見し、感動したものです。今年も年賀状でお元気なご様子をうかがい、うれしく思いました。
当時50代の女性で、術前は危険な状態でした。しかし心臓手術が効を奏し、すっかり元気になられた経過から、左室緻密化障害に左室形成術が役立つことがあることを示すことができたと思います。これがきっかけとなって、世界中の患者さんに手術治療のチャンスが与えられることになればうれしいことです。
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しかしこうして元気になられる患者さんはごくごく一握りであり、左室緻密化障害の患者さんのほとんどは若いうちに心不全や血栓、塞栓などで死亡されます。
これからこの病気の克服へ向けてデータを蓄積し、危険を薬や外科手術で回避できるときには回避し、それをまた世界に発信していくことが重要と思います。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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