Aさんは70代の女性です。僧帽弁、大動脈弁、三尖弁という3つの弁が高度に逆流し、30年来の心房細動もあって来院されました。肝臓や腎臓も弱っていました。
このままでは見通しが暗く、長生きできない状態でした。
そこでオペすることになりました。
.
まず僧帽弁を見ました。形成できないことはないのですが、4つの術式を行うため時間が押していることと、ご年齢から生体弁でも20年は持ちそうな状況のため、安全確実に生体弁で弁置換しました。
左房はひどく拡張していたためこれを縫縮して小さくし、そのうえでメイズ手術を行いました。いわゆる心房縮小メイズ手術です。通常の同手術では歯が立たないようなケースでも効果があります。
それから壊れた大動脈弁を生体弁で取り換え、最後に三尖弁を形成して手術を終えました。
.
術後は心臓がうんと小さくなり胸の中にしばらく空間ができて水が貯まったためこれを抜くなどの操作を行い、お元気に退院されました。外来でお元気なお顔を拝見するたびにうれしい気持ちになります。医師ー患者の関係というより同志か同級生という感覚で雑談ばかりしています。
.
この方法は30年ものの心房細動にも効果があり、患者さんの回復を助けてくれました。
.
お問い合わせはこちらへどうぞ
患者さんからのお便りのページへ
心房縮小メイズ手術のページへ
弁膜症のトップページにもどる
.
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。