僧帽弁閉鎖不全症、、患者さんの想い出3

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Cさんは89歳の男性です。僧帽弁閉鎖不全症のため心不全が強くICUに入っておられましたが、肺も悪く、年齢体力も弱いため手術にはかなりのリスクがありました。

短時間で僧帽弁閉鎖不全症を治すことが必要で、そのためには僧帽弁置換術を決め打ちで行うことを考えていました。しかし同時に、それよりも短時間でかつ確実に僧帽弁形成術ができるならそうしようと心に決めていました。

僧帽弁は後尖のP2と呼ばれる部分の逸脱が広範囲のため、弁置換だろうというのがおよその予測でした。

術中にこれなら行けると判断し弁形成術で決めました。時間の余裕が生じたためメイズ手術もポイントをおさえて10分あまりで完遂しました。術前に心房細動でたいへん困っていたのを知っていたからです。

術後経過は予想より順調で、まもなくお元気に退院して行かれました。退院のとき、笑顔で何度もお礼を述べていただき、このうえなく嬉しく思ったものです。

Cさん、ご高齢でもまだまだ人生は続きます。これからお元気に楽しく過ごして下さい。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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