僧帽弁形成術、患者さんの想い出 2

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◆患者さんの想い出(2):

Bさんは80代前半の男性です。感染性心内膜炎(IE)のため来院されました。

直径1㎝ほどの腫瘤が僧帽弁後尖について動いており、今にもちぎれて飛びそうなこと、そして急性僧帽弁閉鎖不全症を併発して心不全が強いため緊急手術になりました。

手術では感染した後尖のP2(中ほどの部分)と呼ばれる部位をすべて切除し、その周囲はきれいなことを確認して僧帽弁形成術で仕上げました。

三尖弁も形成術を行い、慢性の心房細動があっためメイズ手術を行いました。

術後経過は良好で僧帽弁形成術の良さを実感するものでした。

しばし抗生物質でばい菌をゼロにし、それからお元気に退院されました。A301_092

僧帽弁形成術は若い患者さんにはもちろんのこと、高齢の患者さんにも大きなメリットがあります。

しかしご高齢の場合は体力に限界があるため、短時間で一発で決める必要があり、経験豊富な腕で行うことが肝要です。

それとBさんのように活動性つまりまだばい菌がいる感染性心内膜炎(IE)ではなるべく人工弁を入れたくありません。

人工弁には抵抗力がないからです。

この意味でも僧帽弁形成術は役に立ったものと思います。

Bさん、また外来でお元気なお顔を見せて下さい。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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