三尖弁置換術、、患者さんの想い出

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Aさんは20代後半の男性です。こどものころ、感染性心内膜炎(IE)のため他病院で三尖弁置換術を受けておられます。その後その生体弁が壊れたため再手術で三尖弁置換術を受けられました。

その後また弁は壊れたのですが、Aさんはもう心臓手術は嫌だとお薬で無理をして何とかだましだましで生活して来られました。

しかしいよいよそれも限界に達し、肝臓も弱りだしたころに私の外来へ来られました。
さすがに20年も経っているため人工弁(生体弁)はもう全然作動せず、思い切り逆流していました。

手術では古い人工弁を切除し、新型の生体弁を縫い付けました。

せっかく生体弁を入れる、しかも20代の若い患者さんですから、ぜひ心房細動は取ってあげたいと考えました。そこで左房も開けて右房ともども完全メイズ手術を行いました。

巨大化していた右房は私たちの心房縮小メイズ手術の方法でうんと小さく形成しました。

3度目の三尖弁置換術でしたが、術後経過は順調で、正常リズムで元気に退院して行かれました。

外来でご家族とともにお話しする機会が何度かあり、ここまでの患者さんへのサポートに感謝するとともに、明るさを取り戻された患者さんの笑顔を大変うれしく思います。

Aさん、次のオペはたぶんTAVIのカテーテルで入れて、切らずにできるようになるでしょう。乞うご期待です。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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