心臓弁膜症とは、、、患者さんの想い出

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Aさんは重症の心臓弁膜症に対して3回目の心臓手術を求めて来院されました。2回目のときに僧帽弁に植え込まれた機械弁が3分の1周はずれ、かつ三尖弁閉鎖不全症を合併していました。

人工弁がはずれ、かつ機能不全になっているのは大変重い状態です。

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心臓が悪いため腹水がたまって妊婦さんのようなお腹になってしまっていました。いのちの危険が迫る状態でした。

そのため20代の若い男性なのにお腹が腹水のため妊娠末期のようにぱんぱんに張って、肝臓も危険な状態になっていました。

このまますぐオペに突入すれば心臓手術そのものはできても体が耐えられない、つまり死んでしまう恐れがあるため、まず時間をかけて状態を改善しました。腹水もずいぶん減り、肝臓もある程度回復したところで勝負をかけました。

心臓弁膜症としてはもっとも末期の、手遅れ状態でしたが、術後経過はまずまず良好で、最終的にお元気で退院されました。術前は仕事などあり得ない状態でしたが、仕事復帰を見事に実現されました。

その後も外来でお元気な姿を見せてくれていましたが、転勤のため遠方へ異動されました。Aさん、あまり無理をせず、またときどき顔を見せて下さい。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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