心臓内科(循環器内科)の先生方は私たち心臓外科医から見ても大切なパートナーです。しかし病院によっては内科と外科の心の距離感はかなり大きいものがあります。この傾向は冠動脈のカテーテル治療(いわゆるステントですね)を主に行うタイプの病院で大きくなりがちです。
下記の患者さんもそうした病院で僧帽弁閉鎖不全症の診断を受け、僧帽弁の2箇所で血液が逆流している、今の日本でそんな弁を治せる外科医はいないと言われ、このままでは弁置換つまり人工弁の手術になりかねず、まだ40代の若さでは大変な危険性と苦労を背負い込むことになるため、遠方から私の外来へ来られました。
心エコーを詳しく拝見すると確かに僧帽弁の二か所から血液が逆流していますが、この程度の逆流を治すのはいつものことで、三か所以上でも問題ないためお引き受けしました。
仕事に早く復帰したいとのご希望もあり、MICSで骨も切らずすぐ回復できる方法で僧帽弁形成術をおこないました。2箇所修復し、逆流が完全に止まりました。やや遠方(中部地方)からお越しのため、あえてやや長い目の入院で、十二分にリハビリをこなし、体力と自信をつけてから退院して頂きました。まもなく仕事復帰されたようです。
以下はその患者さんからのお便りメールと、それをこのHPに掲載しても良いですかという許可をお願いしたところさらに加筆して下さった内容です。
また外来の定期検診でお会いしましょう。しっかり仕事や登山を楽しんでください。
**************患者さんからのお便り*********
米田先生へ
お久しぶりになります。
**県在住の****です。メールにて失礼いたします。
先生に手術していただき、2か月が過ぎました。お蔭様で、体調は良く、仕事に復帰
して順調に毎日を過ごしております。
こうして日常の日々に戻れた喜びを感じ度に、先生への感謝の気持ちが増大いたしま
す。
趣味の登山も、近くの1000m級の山ですと、問題なく登れるようになりました。
少しずつ高度を上げて行きたいと考えております。
あと、周囲の方々に言われるのは、「肌の色が良くなったね。」です。
手術前は、黄色っぽい色で、肝臓疾患を疑われていました。原因が心臓疾患にあった
とは、予想もしませんでした。またまた、感謝です!
以上、私勝手の近況報告でした。9月にお伺いいたしますので、よろしくお願いい
たします。
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上記のメールの掲載許可をお願いしたところ、次のメッセージを戴きました。
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米田先生へ
私のメールが、他の患者さんのお役に立つならば、どうぞ先生のHPに掲載してくだ
さい。
他の患者さんへのメッセージについては、以下に記載しましたが、もしもこれが何
かのお役に立つならば掲載してください。
執刀していただく先生の能力により、術式そのものや手術の危険度が変わってしま
います。
そして、患者である私たちの安心感も変わります。
弁形成する技術(心臓を開いて行う手術)というのは、
数多くの経験や凄まじい努力の積み重ねが必要であることはもちろんのこと、
持って生まれた器用さや土壇場でのひらめきも重要であり、
そして形成された弁には執刀された先生の人間性が出るものと私は思っています。
この先生なら、と自分が納得できる先生に執刀してもらうべきです。
患者である私たちにとっては、ワンチャンスです。
患者はとことん調べて、先生や病院を選ぶべきだと考えています。
私の場合は、本やインターネットで調べ、心臓病の方に実際に相談した結果、米田先
生に決めました。
私は、安心と納得をして、手術に臨むことができました。
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心臓手術から7ヶ月経って、この患者さんからまたお便りが届きました。
お元気に過ごしておられるようで何よりです。
また外来でお会いしましょう!
**************患者さんからのお便り*****************
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米田 正始 先生
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大変お世話になっております。**県在住の**です。
手術をしていただき、早いもので7ヶ月過ぎました。おかげさまで、何らトラブル等なく過ごさせてもらっています。
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先月の健康診断では、医師の方が何とかして心雑音を聴診器で聴き取ろうと何度も試みていましたが、「**さん、安心して下さい。僧帽弁のあたりを集中して聴いてみたけど、全く聴き取れない!すごい!」と、大変驚き感心しておられました。
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米田先生の手術を受けられたことは、私にとって本当にありがたいことだと改めて思いました。
(以下略)
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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