お便り114: 92歳でも大動脈弁狭窄症を克服し

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大動脈弁狭窄症(略称AS 、エーエスと呼びます)は80歳前後から急速に増える病気です。

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かつてはリウマチ性の弁膜症として起こることが多かったのですが、近年は高齢化社会とあいまって、動脈硬化が弁尖(ひらひらと動き開閉する部分です)に起こり、弁が硬くなって起こることが増えました。193510016

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この大動脈弁狭窄症 ASになると、左心室の出口をなかば閉ざされたようになり、次第に無理が起こります。

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とくにこれが重症となり、息切れやふらつき、あるいは胸痛などが起こってくると1年以内に大半の方がいのちを落としてしまうというデータさえあります。

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そのため日本循環器学会のガイドラインでも症状のある重症ASには手術が必要ということが明記されています。

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この患者さんの場合は1年前から心不全が悪化し下肢のむくみなども起こっていました。心臓手術、具体的には大動脈弁置換術(AVR)が比較的安全にできる見込みが立ったことと、大動脈にも硬化がありカテーテルで入れるTAVIは当時まだ発展途上ということもあり心配があったため十分な検討ののち前者を選びました。

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術後経過は良好で十分な心臓リハビリののち退院して行かれました。

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外来でいつも最高の笑顔を見せていただき、うれしく思っています。

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ご高齢とはいえ、広い庭で草引きをしたり、買い物に行ったり、お元気な生活を楽しんでおられるご様子で、治療をお任せ頂いた者としてジーンとなってしまいます。

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以下はこの患者さんが退院されるときのご家族からのお手紙です。

毛筆の素敵なお手紙でした

短くても実感のこもったものでした。

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これからも外来でお元気な笑顔を見せてください。
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********患者さんからのお便り*******

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この度は先生のお陰により又、

生命を継ぐことが出来、

本当に有難うございました

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生かされた命を大切に日々送ってもらいたいと思って居ります

心より感謝申し上げます

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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