お便り116: MICSの複雑三尖弁形成術で人工弁を免れ、、

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三尖弁閉鎖不全症はそれ単独では心臓手術が必要になることは比較的まれです。

 

しかしあまり高度な逆流で心不全が強まり、症状が強く肝臓などの内臓にまで影響が及ぶようになれば手術が必要となることがあります。

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実際、タイミングを逃して外科に紹介されたときにはすでにDICという末期状態のため手術ができず、そのまま失ったという経験が昔あります。

 

高度な三尖弁閉鎖不全症は油断できないわけです。

 

下記の患者さんは昔の交通事故が遠因となり胸部大動脈が傷ついて手術を受けられました。その後重症の三尖弁閉鎖不全症が発生し遠方からはるばるお越し下さいました。

 

弁尖つまり弁のひらひら部分がほとんど作動しない、ぶらぶらになって全然閉じることができない状態でした。おそらくは昔の交通事故のため弁を支える糸が多数切れてしまったのでしょう。

 

こうした場合、通常のリングをもちいた三尖弁形成術は効果がありません。

 

人工腱索が必要なのですが、三尖弁でこの方法を使える病院は数少ないのです。

 

私たちはこれまでペースメーカーによる三尖弁閉鎖不全症の手術経験を積むなかで、人工腱索を使うノウハウを蓄積して来たため、これは得意種目のひとつです。

 

下記の患者さんも、前尖、中隔尖、後尖とも逸脱していましたが、ゴアテックス糸による人工腱索を合計12本立ててきれいに治りました。つまり人工弁を回避できたわけです。

 

この操作を傷跡の小さい、骨も切らないMICSで行いました。患者さんには大変よろこんで頂けました。

 

以下はその患者さんからのお便りです。

 

 

これから楽しく活発な生活を楽しんで下さい!

 

 

******** 患者さんからのお便り *********

米田正始先生へ

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先だってお世話になりました石川県**市の**です。

お便り116.
あれほど苦しかった症状がなくなり、今は衰えた体力を取り戻そうと少しずつ活動を増やしているところです。

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思えば、4年前の大動脈瘤発症から急激に心機能が衰え、まだまだ働き盛りの年齢にも関わらず、仕事も続けられないほど病状が悪化し、米田先生に出会う頃には、息苦しさや動悸で自宅の階段がまともに登れなくなり、ほんの少しの距離でさえ休みながらでないと歩けなくなっていました。

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それまで、定期的に地元の病院で診察を受けており、「まだ手術の適用には至ってない」とのことで投薬治療を続けていましたが、自分の感覚では医師の言葉とは裏腹に、あまりのしんどさから、このまま薬の治療で本当のいいのだろうかと疑心暗鬼になっており、気持の落込みも酷くなる一方でした。

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そんな時、ネットで米田先生のサイトを見つけ、その中の“患者さんの声”を読ませていただき、自分よりももっと重症の患者さんが、米田先生の手術を受けて健康を取り戻した例を沢山拝見し、この先生ならきっと今の自分の状態を的確に判断してもらえると確信しました。

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しかしながら、調べれば調べる程大変有名な先生であるが故、何のつてもない自分が診察を受けることができるのだろうかと思ったり、又、自宅からも遠いので、先生のメアドを登録したものの発信する勇気がなかなか出ませんでした。

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そんな迷いに迷っていた時、間違えて発信ボタンを押してしまいました。本文の無い空メールに対して、驚くほど速く返信していただき、恐縮するやら感激するやらで、迷いに迷っていた自分の背中を押していただいた気がしました。

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すぐに自分の症状を伝えたところ、一度診察に来てくださいとのことで、コーディネーターと打ち合わせをして診察の予約をしていただきました。

 

診察の結果は、三尖弁閉鎖不全症と心房細動で、手術適用の時期とのことでした。

 

詳しい状況を分かりやすく説明していただき、自分の心臓の状態を確認することができ、手術を受けるしかないという一大決心もつき、その日のうちに手術を受けようと前向きな気持ちになれたのは、先生の的確な診断と手術の方法をお聞きできたからです。

 

又、遠方からということで、必要な検査も一日でしていただき、たいへんなご配慮をいただきました。これまでいくつもの病院にお世話にますましたが、ここまで気配りしていただいたのは初めてです。

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手術は、レアケースだったらしく、三尖弁の傷みが相当酷く、ほぼ人工弁にせざるを得ないだろうとの説明を受けていましたが、「弁形成」を希望していた自分の気持ちを汲んでくださり、相当な工夫や技術で弁形成をしていただきました。米田先生だからこそできたとありがたく思います。

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術後に肺気腫や、除脈等の合併症(?)発症というオマケがつきましたが、その都度、適切な処置をしていただき、無事退院までこぎつけました。

 

家までの帰り道、高の原駅まで歩いている時、入院の時に歩いたこの道がこんなにも近かったのかと驚きました。

 

手術前はやっとの思いで病院までたどり着いていたので、凄く遠かった気がしていたからです。本当に良くなったんだと実感できた瞬間でした。

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入院中は、米田先生はじめチーム米田のスタッフの気配りやサポートをいただき、遠方ゆえの寂しさも紛らわせていただき、深く感謝しております。

 

本当にありがとうございました。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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