<手術前> 77歳女性、胸腹部大動脈瘤の破裂で重篤な状態で他病院からのご紹介で来院されました
全身の衰弱で状態が悪く、通常の手術は難しいということでステントグラフト(EVAR)と従来型手術を組み合わせたハイブリッド治療を選択しました。
つまり腹部大動脈の重要な枝たとえば腎臓へ行く動脈や胃腸・肝臓へ行く動脈をバイパスし温存したうえで、大動脈にステントグラフトEVARを入れて瘤をつぶすようにしたわけです。
腹部血管のバイパス手術は腹部大動脈瘤手術に準じたリスク、つまりかなり低いリスクで安全に行えますし、
その後であればステントグラフトEVARで大動脈瘤を細くしてもそう危険ではありません。
手術もステントグラフトEVARも順調に行えました。
<手術後>
超重症の患者さんでしたが、
ハイブリッド手術の低侵襲性つまり体への負担が軽かったおかげで、元気に退院されました。
胸腹部大動脈瘤へのステントグラフト(EVAR)治療に先立ち、
腹部動脈にバイパスをつけて内臓が守られるようにしたのが画像にて見ることができます(矢印1)。
これでステントグラフトEVARが遠慮なく力を発揮できます(矢印2)。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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