ひとと自然と ―― 心臓外科医の写真紀行記

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[ 無料素材写真集 ]

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Photo_2   ひとと自然と 第一集

 

仕事柄、手術や発表・講演などで国内外のあちこちへ行く機会があります。せっかくのすばらしい、あるいは美しい、自然やひとや動物などをそのまま忘れるのはいかにも惜しいと、仕事が一段落したらデジカメを片手に出かけていっては撮ったミニ写真集です。感想や技術的なことも含めたご指導など、なんでもお聞かせ頂ければ幸いです。

Photo_4     ひとと自然と 第二集

 

一番美しいものは何かと聞かれたら私は心臓と答えるかも知れません。究極の機能美と思うからです。心臓が美しい形を取り戻せばパワーアップができ、患者さんは元気になる、といったら少々非科学的でしょうか。世の中には同じ観点で美しいものが沢山あると思います。それをなかなか記録し表現できないのが残念ですが。

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ひとと自然と 第三集

ひとと自然のかかわりの中で最近の熱い話題はやはり地球温暖化でしょうか。20年ぶりにカナディアンロッキーに立ち寄り、氷河がすっかり小さくなっているのを見て驚きました。また暖かい地域でも変化は着実に起こっているようです。それらの結果日本でマラリアが大流行するなどの懸念もでているようで、絶妙のバランスでかろうじて成り立っているのは地球から病気の心臓まで同じなのかも知れません。

Photo ひとと自然と 第四集

 

医学とくに外科の世界ではアートとサイエンスは永遠の課題としてよく話題になります。手術でいえばきれいな手の動き、アスリートのような速くて正確な仕事、見るからに美しい仕上がり・美的センス、これらはアートの例ですが、その手術を支えるさまざまな理論や知識・技術、学習や考察の集積、これらはサイエンスの例です。どちらも大切で、どこまで修行しても頑張っても終わりがない世界です。古い建築物や芸術作品、あるいはいろんな職人さんたちの動きを見ているとアートとサイエンスの共存を感じます。

Photo ひとと自然と 第五集

自然の妙というのは意外に身近にあるようです。雹ひょうで多数の穴があいても頑張る植物、いっせいにシンクロして開く桜の花と開かずに待つ葉、さまざまな表情を見せる朝日や夕陽の海、陽光を受けて異なる色彩を放つ植物、さりげなく存在感と季節感を出す梅雨時の花、いずれも必然性があってそうしていると思うと奥が深いと感じます。そういえば一生涯仕事をし続けると言われる心臓は、わずかな時間を活かして一生涯休憩している一面もあり、これまた自然の妙かも知れません。

Photo ひとと自然と 第六集

仕事のため飛行機に乗る機会が多いためか、最近空撮に少し凝っています。といっても飛行機の窓にきれいなものが見えれば撮るだけのことですが。空から見ると陸から見た場合とはかなり違う形で見えますし、美しさや面白さを再発見することもあります。少しアプローチを変えれば見えるものがずいぶん違うというのは心臓手術と同じで、こうした柔軟な視点が結構患者さんのお役に立つことがあります。手術の要領で空からも意外に簡単に見たいものが見つけられます。このシリーズではその一部を載せました。

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ひとと自然と 第七集

北京オリンピックは数多くの見せ場や感動を残して終わりました。たまたまこのシリーズでは最初(大連、5年前)と最後(北京、3年前)の部分が中国の写真です。多くの人たちの努力で中国が急速に成長しているのを大連でも北京でも感じましたが、アメリカやシンガポール(いずれも中ほどに写真があります)などと比べると、後者には何となくゆとりやそこから来る美しさ・センス・ユーモアがあるように思います。その点日本はどうでしょうか。
心臓手術では手術室のピーンと張りつめた空気や重要ポイントでの静寂さが事故予防に役立つとかつて海外で教えられ、お互いに真剣勝負の心構えでやって来ましたが、真面目さだけでなくゆとりやりラックスもまた大切と知り、最近はここというポイントどころでは緊張感を漂わせながら、その部分が過ぎればジョークを誘発しては一緒に楽しむ雰囲気を作っています。チーム全体のパワーアップにつながっているようです。中国にも少しリラックスしてエコや自由を考えて頂きたく思うこのごろです。

Photoひとと自然と 第八集

 

今回はいつもの写真紀行記にくわえてミニ歴史探訪の旅というかたちの写真を入れました。長篠の戦いはご存じのように戦国時代、武田勝頼の騎馬隊が織田信長の鉄砲隊に惨敗を喫した歴史的戦いとして知られ、ヨーロッパでスペインの無敵艦隊がイギリス海軍の新鋭船の前に壊滅したアルマダの海戦と比較される戦いです。しかし単に鉄砲が馬に勝ったのではなく、鉄砲が馬に勝てる条件を一つまた一つと集積し、鉄砲の力をフルに発揮できるよう仕組んだ信長の戦略の優秀さによるものと実感しました。難病や重症に取り組む手術や治療も同じではないかと思いました

Photoひとと自然と 第九集

今回はソウルとサンディエゴに行ったときの写真に国内でのものを加えました。サンディエゴには米海軍の代表的軍港があるため戦争と平和を思わず考えさせられました。ソウルでは国宝No.1の南大門が社会に恨みをもつ人の放火のために焼け落ち、複雑な気持ちになりました。もちろん写真を撮ったころは見事な建物は健在でしたが。このシリーズでは動物の写真を数枚入れましたが、動物の生きざまの中には癒されたり感動を覚えることが多々あり、これも自然の良さなのかと思うこのごろです。難しい手術で迷ったときは自然をまねよ、とは恩師Dr. Davidの言葉です。

Photo ひとと自然と 第十集

巷は総選挙に突入ということで騒がしくなりつつあります。医療関係では何と言っても医療崩壊の問題に有効な手を打ってくれる人たちに政権を任せたいと個人的には思っています。今回のギャラリーの前半では恒例の学会に参加したアメリカ・サンディエゴと新しい心臓再生医療立ち上げのため訪問したタイ・バンコックでのスナップ写真が含まれます。いずれの国も医療の問題課題を抱えてはいますが、こと心臓外科に関する限りは日本よりはベターで、院内での医療崩壊というほどの荒廃は無いように感じます。手間のかかる治療やリスクの高い患者さんはなるべく避けよう(つまり見捨てるわけです)という考え方がなぜ日本の公的病院では増えたか、またそれに疑問を持たない指導者・管理者がなぜ多いのか、海外の前向きのシステムや姿を見ていると答えが見えてくるような気がします。

Photo ひとと自然と 第十一集

今回は伊勢とベトナム紀行記です。伊勢はこどもの頃から臨海学校でお世話になり、高校以後は海水浴によく行ったので思い入れがあります。伊勢の奥にある志摩は田舎の良さと自然の美が残る地です。伊勢神宮には半端でない迫力を感じます。心臓手術のあとで、「人事を尽くして天命を待つ」心境になることは、全身が衰弱した重症患者さんの場合はあり得ることです。そんな時神の存在はありがたいなあと思います。

ベトナムの方は、昨夏、世話人を務めるアジア弁膜症シンポジウムのためダナンへ行った時のものです。アジアの仲間たちと楽しく勉強しました。ダナンはかつてベトナム戦争のころは米軍基地がある前線地域でした。今、平和な時代となり、アメリカ資本が入って欧米風リゾート化が進んでいるのを見ると、あの戦争は何だったのだろうとふと思います。ベトナムの人たちは優しく、粘り強く、器用で、素朴です。それを随所で感じました

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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