最終更新日 2023年1月7日
<目次>
- 1. はじめに
- -虚血性心疾患とはどういう病気ですか
- 2. 市民公開講座から、狭心症や心筋梗塞の解説です
- 3. 治療につきまして
- -狭心症にたいする冠動脈バイパス手術とはどういう手術ですか
- -薬剤溶出性ステント(DES)は万能なのですか
- -とくにオフポンプバイパス手術について
- -オフポンプバイパス手術は心筋に埋もれた冠動脈には弱いと聞きましたが
- -ハイブリッド治療とは?
- -冠動脈ろう
- -冠動脈瘤
- 4. もっと悪くなってからでも
- -狭心症が悪化して心筋梗塞になってしまってからでも手術はできるのですか
- -虚血性心筋症にたいする左室形成手術にはどういうものがあるのですか?
- -心筋梗塞のあとなどに起こる虚血性僧帽弁閉鎖不全症(虚血性MR)は治療が難しいと聞きますが
- -心筋梗塞のあと、心臓が破れたり中の壁に穴が開いても手術できるのでしょうか
- -心筋梗塞のあと、心臓の中(心室中隔)に穴があく心室中隔穿孔VSP(VSRと略称することも)ではどうでしょうか?
- 5. 近未来の医療が現実に
- -心臓の再生治療は使えますか?
- 6. 病診連携の講演会(医療者向け)
1. はじめに
虚血性心疾患は多数の方々を襲う可能性のある現代病です。
動脈硬化のために冠動脈(右図の赤い細い血管)が狭窄(せまくなること)したり閉塞するために起こります。
とくに心筋こうそくに至ってしまうと命の危険が高い病気です。
しかしこの病気はかなり予防できますし、予防できない場合でも早期発見と早期治療で死亡リスクを減らすことが可能です。社会復帰の見込みも高まります。
この虚血性心疾患になりやすい、いわゆるリスクファクターをお持ちの方々、たとえば糖尿病や腎不全あるいはメタボなどの場合は、そうした努力が一層意味をもちます。
2. 市民公開講座から、狭心症や心筋梗塞の解説です
まず予防、ついで早期発見と正しい治療がいのちを救います
(註:ここでNO(エヌオー)とは一酸化窒素のことで冠動脈を開き動脈硬化を予防するはたらきがあります。サウナで気持ち良くなるのもこのエヌオーのおかげと言われています)
3. 治療につきまして
虚血性心疾患の治療はまず予防、ついで生活改善やお薬での治療が行われます。
それでもダメなときや、心筋梗塞の危険が迫っているときなどは、カテーテルという管を使って冠動脈を広げる治療(PCI、ピーシーアイ)が行われます。
PCIでもダメなときや、PCIが適切でないときには外科で冠動脈バイパス手術が有効となります。
1. 狭心症にたいする冠動脈バイパス手術とはどういう手術ですか
以前から長持ちする治療法として知られていましたが、近年、カテーテルによるステントより長生きできることが証明され、その価値が見直されています…
2. 薬剤溶出性ステント(DES)は万能なのですか
皮膚へのやさしさと内蔵へのやさしさのどちらが大切かということも考える必要が時にあります…
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かつてカテーテル治療(PCI)やステントを受けられた患者さんたちへ
油断は禁物です。
定期検診によって楽しく安全確保ができます…
3. とくにオフポンプバイパス手術について
すでに定番の手術となり、多くの方々によろこばれています…
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MICS-CABGとは?
小さい傷跡で、しかしバイパス手術の良さはそのままに。これからの手術法です。同時にミックスでなくても早く仕事復帰できる方法も…
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川崎病患者さんの成人期の冠動脈疾患につきまして
こどものころの川崎病は完治していても、大人になってから動脈硬化が進行し狭心症や心筋梗塞を発生することがあります…
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Syntax研究3年の結果と欧州のガイドラインはこちらです。
EBMにもとづく医療を推進するためにもぜひごらんください…
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SYNTAX研究4年の結果
ついに生存率でバイパス手術がカテーテル治療PCIより優位に立ちました…
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天皇陛下(当時)が冠動脈バイパス手術を受けられるわけは?(手術前の考察)
医師団が陛下の全身と今後を考慮された結果と思います…
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天皇陛下(現・上皇)のバイパス手術
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冠動脈バイパス手術のふしぎな力とは
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日本の新しい治療ガイドライン
日本循環器学会が2012年に発表された最新の治療指針を解説します…
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SYNTAXトライアル研究、5年の結果がでました。
CABGが患者さんに役立つことがさらに明らかになりました…
4. もっと悪くなってからでも
虚血性心疾患の治療は、心筋梗塞になるまでに行うのが良いのですが、そうは言っても心筋梗塞が発生してから病院へ来られるということは、まま起こることです。
右図は冠動脈が閉塞し心筋が壊れて心筋梗塞になるときの様子を示したものです。
しかし心筋梗塞が起こればもうおしまい、というわけではありません。現在は有効な治療法が多くあり、決して単純に諦めていけません。
2. 虚血性心筋症にたいする左室形成手術にはどういうものがあるのですか?
いくつかの方法を患者さんの状態に応じて使い分けます…
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左室瘤の治療は?
大きな左室瘤などでは手術が有益です。手術後とくに元気になりやすい病気です。このことは医師の間でも意外に知られていないことがあります…
3. 心筋梗塞のあとなどに起こる虚血性僧帽弁閉鎖不全症(虚血性MR)は治療が難しいと聞きますが
ずいぶん進化しました。
ハイリスクと言われるタイプの患者さんでもその手術死亡率は低下しました
私たちが考案した手術法です。これによって弁の安定性が向上しました
4. 心筋梗塞のあと、心臓が破れたり中の壁に穴が開いても手術できるのでしょうか
5. 心筋梗塞のあと、心臓の中(心室中隔)に穴があく心室中隔穿孔VSP(VSRと略称することも)ではどうでしょうか?
かつては治しづらい病気でしたが、現代は体の状態がまだ保たれているうちに手術すればほぼ治せるようになりました。…
しかも年々進化しています…
1989年にアメリカ心臓学会で発表した図です。当時の手術死亡率を3分の1まで下げる貢献をしました
5.近未来の医療が現実に
心筋梗塞や梗塞のあとのさまざまな問題は、これまで難病あつかいになっていました。
しかしこれも治せるという光が見えて来ました。
上記の外科治療や内科治療に加えて再生医療を行えば、極端に弱った心臓でもそのパワーを取り戻す、そういう時代がすぐそこまで来ています。
1. 心臓の再生治療は使えますか?
6. 病診連携(医療者向け)の講演会から
H25.10.に奈良市で行われた米田正始の講演録です
医療者の皆さん向けです。音がやや小さいため、ボリュームを上げてごらんください。ご要望にお応えし字幕をつけました。
早期発見、適切な治療がいのちを救い、長期の健康を守ります。
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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