A: 下肢の動脈硬化はとくにASO(閉塞性動脈硬化症)として大きな社会問題になっています。
糖尿病や慢性腎不全・透析の患者さんなどの場合、起こりやすい病気です。タバコも原因となります。
高齢化社会になり、しかもメタボリック症候群が増えた現在、国民的病気という心配もでてきています。
閉塞性動脈硬化症ASOでは、右図の動脈のどれかが狭窄(狭くなる)したり閉塞(詰まる)します。
あるいはそれらの動脈の枝がやられても起こります。
また若い方に多いバージャー病は動脈硬化とは少し原因が違う形ですが、ASOと同様に下肢に血液が流れにくくなり同じ問題が生じます。
下肢の動脈が次第に細くなり閉塞すると下肢が腐ってしまい(左図)、痛みのみならず生命の危機に陥ることも多くあります。
そうなると命には代えられないということで下肢をやむなく切断しなければならないケースもあります。
日本では毎年1万人以上の方がこのために下肢を切断されているというデータもあります。
下肢を切断されたらとりあえず命は助かっても患者さんの生活は悲惨です。
健康を害し、寿命も短くなるというデータが知られています。
仕事がある方の場合は失業にもなりかねませんし、お年寄りであれば身の回りのことができなくなったり運動不足から体調も悪くなり、大変困った状況になってしまいます。
また近年は心臓などのカテーテル検査・治療に関連したコレステロール塞栓で足などの動脈が詰まり、強い痛みとともに下肢が腐り(壊死(えし)と呼びます)、切断に至ることも増え、注意が必要です。
(患者さんからのお便り14をご参照)
もし下肢とくに足や足の指が冷たくなり色が変われば早めに心臓血管外科専門医にご相談されることをお勧めします。
専門医がわからない場合は循環器や内科あるいは血管関係の医師でもよいでしょう。
手術で治るケースが多数あり、それができない状況の時でもカテーテル治療や再生治療(血管新生)があるため、手遅れになるまでにご相談下さい。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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