最終更新日 2020年2月17日
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◾️特発性拡張型心筋症とは
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原因不明の、心筋(心臓の筋肉)の病気で左室の筋肉が壊れ、左室壁が薄くなり左室の拡張や動きの低下を引き起こし、心不全になる病気です。
心筋症・心不全のページをご覧ください。
運動時の息切れや動悸、下肢のむくみなどの症状が出て、病気が重くなれば横になっていても息切れがし、命に関わる状態になってしまいます。
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◾️拡張型心筋症の治療は
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まず減塩やお薬、心臓リハビリなどの内科的治療を行います。お薬ではβ遮断剤、ACE阻害剤かARB、抗アルドステロン剤などが中心になります。
内科的治療が限界になれば外科治療が検討されることがあります。ただしこうした外科治療をできる病院は限られるためその機会は多くないのが現状です。内科的治療が限界になれば一気に補助循環や心移植へと進むのが現状ですが、こどものドナー心は極めて不足しており、チャンスが多いとは言えません。
原因不明とされる特発性拡張型心筋症や、心筋炎の後遺症としての拡張型心筋症、あるいは左室緻密化障害に続発する拡張型心筋症などが外科手術の対象となることがあります。
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◾️拡張型心筋症、私たちの工夫は
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小さいこどもさんの拡張型心筋症でも拡張が高度であったり、心筋がやられている部位がより明確なケースでは左室形成術によって大変良くなることを経験しています。
そうしたケースでは以前から小児科・小児心臓外科・循環器内科の専門の先生方と協力して治療にあたるようにしています。
拡張型心筋症は大人になってから心不全が悪化することもよくありますので。
筋ジストロフィーもそのタイプや経過によっては心臓手術が役立つことはときにあります。なお進行が速いドゥシャンヌ型よりはベッカー型のほうが有利という印象があります。
要は心機能がどこまで改善するか、そしてそれがどのくらいの期間守れるか、個々の患者さんの特徴に応じた評価が大切です。
また拡張型心筋症と心不全による二次的な僧帽弁閉鎖不全症(機能性僧帽弁閉鎖不全症)を外科手術で効果的に治すことも経験豊かなチームでは可能で、これだけでもかなりの改善が図れるケースがあります。
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心筋症イコールお薬か移植というのではなく、手術を含めた多様な治療法が効果的なケースもあります。
多角的に検討し治療することが安全と成績向上につながると思います。
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■ お断り: 現在、米田正始のチームは小さいこどもさんの心臓手術を行う態勢が整っておらず、赤ちゃんや小さいこどもさんは信頼できるこども病院などにご紹介させて戴くようにしています。15歳以上あるいは身体が大人サイズの方でしたら直接ご相談に乗らせていただきます。ただご相談や検査でしたら10代前半でも受け入れております。
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■患者さんの想い出: 拡張型心筋症で絶対絶命というなかで、このまま座して死を待つよりも全力を尽くそう、先端的手術にかけようと、患児やご家族と相談のうえ、手術を行ったことが何度かあります。いわゆる手遅れ状態からのスタートのため体力がもたず涙を呑んだこともありますが、皆が驚くような回復を遂げられたケースも少なからずあります。
その一例をご紹介します。こちらをどうぞ。手術から11年が経過しますが現在もお元気に暮らしておられます。次の再会を楽しみにしています。
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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