患者さんは86歳男性で狭心症と弁膜症(大動脈弁狭窄症)のため冠動脈バイパス手術 と 大動脈弁置換術 をハートセンターにて行いました。
大動脈弁置換術そのものは心臓手術の中でも一番シンプルな部類に入るのですが、
複数の手術を行うことに加えて、比較的ご高齢で、もともと心臓機能が落ち、腎臓も血管もお悪かったため工夫を要しました。
しかし患者さんとのチームワークも良く、順調に回復していただき、お元気に退院されました。
その直後、患者さんの奥様にも難しい病気が発見され、
米田がご相談をお受けし、その領域で信頼できる名医をご紹介し、奥様も軽快退院されました。
以下のお便りはその患者さんご夫婦の娘さんから頂いたメールです。
患者さんご本人だけでなく、その奥様の治療にもお役に立てたとすれば医者冥利につきることでうれしく思いました。
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米田先生
先生、こんにちは!
5月も末に近づき、もうすっかり初夏の陽気になりました。
少し動くと家の中に居てさえ、薄っすらと汗が出るほどです。
(中略)
今回、母の手術ができて、腫瘍が切除できたことは、
父の心臓の手術を先生に執刀していただき、私が先生に
お会いしていたこと。また、先生がHPを持っていらして、
そのHPとハートセンターのHPの中に書かれている
先生のお考えを読ませていただいて、無謀ながらお願いできる
かも知れないと私が思ったからです。
現在87才の父でさえ、8時間半に渡る手術に耐え、翌々日から、
自分でトイレに行き、そして、今は週6日は夕食に中瓶1本半
のビールを楽しみ、週1回か2週に1回はサウナへ行く生活を
送っています。
そんなに元気になれたのは、本人の努力もありますが、先生に
手術していただいたお陰に外なりません。
それぞれ考え方もあり、一概には言えませんが、ただ決心が
つかないだけならば、若い方なら特に、手術で治る可能性の
ある病であれば、長く辛い思いをして病院通いをしたり、体を
騙し騙しして生活しているより手術をして、健康に生きる方が
どれだけ良いか分からないと私も思います。
先生からのメール、大変嬉しく、重ねてお礼申し上げます。
(中略)
では、お元気でお過ごしください。
************以下はその患者さんの娘さんのブログからの引用です。お役に立ててうれしいかぎりです***********
母のシーズン
季節の花便りと私の母のことMarch 2009
2009年03月19日
エリカの花咲く道
母が行く散歩道は、この近くでも私の知らない所がたくさんあります。
横浜はUP、DOWNが多いので、すぐ近くでも急な坂道を登ったり、階段があったりで、私は余り行ったことがないのです。
この花は、家の裏手にあり、海の見える大変景色の良い道の途中に咲いています。
いつも、抗がん治療に入る前日に採血をして、治療ができる状態かどうかを診断してもらいますが、2/27(金)からの入院治療のために2/26日に採血をしたところ、白血球が少ないので翌日からの治療を見合すという連絡が入りました。そして、翌朝の体温が 37.5℃ 以上あったら来院くださいと言われていたので、体温を測ったところ 37.2℃ あり、念のために病院へ行き診察をしてもらうと、発熱性好中球減少症という診断でした。
これは手のしびれと同じ オキサリプラチン(5-FU) による”骨髄抑制”と呼ばれる副作用で、白血球の減少により抵抗力が低下して感染症にかかりやすくなります。
そこで、その日の午後から入院をして3日間白血球を増加させる治療をすることになりました。
母が一生懸命前向きにがんと闘っているのに、それを阻むようなストレスがあり、名古屋でゆっくりした気分でいられない事を考えるにつけ、できればこちらで抗がん治療を受けられないものかと思案します。
FOLFOX にしろ FOLFIRI にしろ抗がん治療のお薬は大変高価で、治療のために母が三日間入院すると病院は、お薬代だけでも赤字になるそうです。
入院にかかる費用は、お薬代だけではなく勿論人件費など諸費用もかかりますので、赤字の額は相当なものでしょう。
そういう事情もあって、こちらで新しい病院を探しても受け入れてもらえるかどうかは、難しい問題です。
一方、母より7才年上の高齢の父が、心臓の大動脈を含む手術に成功したことを考え、大動脈の近くだから切除できない(これは実際には、違っていました**)と言われている母の腫瘍も取れるのではないかという思いが私の中で膨らんできました。
そこで、藁をもつかむ思いで、無謀とは知りつつ、母のことを心臓外科医である父の主治医の先生にご相談してみました。
大変お心の広い方で、父の手術の折に一度お会いしただけのほぼ見ず知らずの私の、それも専門外の相談に快く応じてくださり、名古屋にいらっしゃるお知り合いの大腸がんの権威であるお医者さまをご紹介くださいました。
**検査の結果、腫瘍の切除が不可と判断された理由は、腸が仙骨に癒着していて可動しないためだったようです。
追記:
お願いをしてリンクさせていただいた「心臓外科医の写真紀行記」は、
“ハートセンター” の米田正始先生のHPです。
父の心臓手術をご執刀いただき、母の先生をご紹介くださいました。
米田先生には、両親共々、心より感謝しています。
この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
( http://blog.livedoor.jp/sachi1929/archives/cat_34454.html )
お問い合わせはこちらへどうぞ
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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