たくさん建物や機械類が並んでいても、実際に心臓や血管の患者さんを治療するのに関係のないもの、たとえばがん関係が多いなら、それは必ずしも意味が大きくないことになります。
場合によっては個々の医師や技師が他の業務に忙しくなって、その治療の熟練度やレベルが下がるというマイナス点も目立つこともあります。
がんも心血管も脳神経もと言うように、何でもやるというのは何も本当にはできないというのが技術職(検査や手術その他)のよくある本音なのです。
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そのため海外の有力施設では心臓センターなどの形で独立したり別棟にして心臓外科の迅速で集中した治療が成り立ちやすいように工夫するところが多いです。
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また看護師さんや事務員さんの姿勢・態度から病院の本質が見えることもよくあります。
医療現場でのコメディカルや事務職の役割は年々大きくなってきています。
こうした重要な役割をもった人たちがなるべく緊急を減らそうとか、なるべく手間のかかる患者を断ろうとか、心臓外科手術を少なめにして楽に回そうなどの発想を持っている施設ではおのずと医療崩壊の兆候が指摘されています。
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さらに病院のトップたとえば院長レベルのひとたちが、それに迎合してしまう傾向が公的病院で指摘されています。独立行政法人化によって院長選考の際にナースにも選挙権があたえられたところでは、手間のかかる大手術を減らす候補者のほうが票を集められるからと言われます。
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病院や医師を選ぶとき には、レッテルでなく内容本位で考えることが大切でしょう。
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私たちは足腰の強い心臓専門の単科病院の良さと、足腰の動きは少々遅くても全身を診ることができる総合病院、この2つの良さを併せ持つ、総合病院の中のハートセンターを目指してがんばっています。
心臓外科のこれからのあるべき姿になれるよう、努力しています。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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