岐阜ハートセンター(左図)は豊橋ハートセンターの三番手として、豊橋ハートの患者様第一の精神をもとに2009年2月に岐阜県岐阜市、岐阜県庁の近くにオープンした。
以前から岐阜で活躍し地域の厚い信頼を受けておられる上野勝己先生(院長)を中心に、
同じく岐阜で多くの実績を積まれた松尾仁司先生(副院長)らが結集し、
さらに私の長年の友人・後輩でもある心臓外科の富田伸司先生が加わって、さながら岐阜の循環器実力派のオールスターのような雰囲気になった。
そこへ豊橋ハートセンター(写真右)の鈴木孝彦先生、加藤修先生をはじめとした面々や外科からは大川育秀先生がスーパーバイザーとして支援され、
私(米田正始)も名古屋ハートセンターで仕事をする傍ら、及ばすながらその一員として多少とも尽力させて戴いている。
医療費削減政策が実行されて年余が経ち、病院間の競争が激しく、経営も大変な今日だが、
患者さんを365日24時間体制で受け容れ、かつ温かい雰囲気の中でハイレベル治療ができる施設は必ずしも多いとは言えない。
患者さんから見れば、まだまだ医療過疎と言わざるを得ない状況がそこにあるとよく耳にする。
つまり岐阜ハートセンターが患者さんや地域に貢献し喜ばれる余地が十分あるわけである。
はたして開院後、岐阜ハートセンターは多数のカテーテル治療や心臓外科手術などの実績を積み上げ、すでに地域医療に定着して発展を続けている。
私個人は海外での長年の経験から、公的病院とくに大学病院と柔軟な私立病院は補完的立場にあり、協力しあうことがそれぞれの持ち味を一層引き出すことになると確信するものである。
心臓外科を例に取れば、日本の国立大学病院は多くの場合、手術室が使える日が限定されており、心臓手術を必要とする患者さんがいても病院内部の都合でそれがすぐ提供できないことが多い。
それをハートセンターに代表される私的病院なら受け入れ患者さんのニーズにこたえることができる。
経験豊かな先生の場合は大学病院の先生がハートセンターで腕をふるうこともでき、
その経験やデータは教育や研究にも活用できるし、理にかなった報酬も得られるのである。
病院同士はたとえ大学の関連病院同士でもライバルであるが、
医師同士は仲間・友人であることを考えると、
国公立大学病院とハートセンターなどの私的病院は有機的協力がもっともしやすいパートナーなのである。
このことは先進国では常識である。
岐阜でもこうした世界の常識、それも患者さんに益する協力ができ、患者さんも地域の方々も医療者も張り切って暮らせるようになることを期待するものである。
またその中で岐阜ハートセンターが高い評価を得て発展することを期待したい。
2009.10.記
追記: 2013年10月から米田正始は郷里の奈良にある高の原中央病院に新しく「かんさいハートセンター」を立ち上げました。
これまでのハートセンターとの協力関係は続けつつ 、新しいセンターにてたとえばポートアクセス法などのミックス手術(右図、創が小さく社会復帰が早いです)、複雑な僧帽弁形成術や大動脈弁形成術、あるいは左室形成術などでとくにお役に立てれば幸いです。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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