お便り21 僧帽弁形成術の患者さん

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心臓手術はミスが許されない世界です。

そのため心臓手術の一例目というのは大変な神経を使い、

しつこいぐらい十分な準備と少々のことでは揺らがないチーム態勢を整えて臨む必要があります。

しかしどんな病院でも開設第一例目の患者さんは必ず存在します。

 

2008年10月に名古屋ハートセンターを開設したときにも当然第一例目の心臓手術患者さんがおられました。

僧帽弁閉鎖不全症のため僧帽弁形成術が必要になっておられました。

もち62149b2dろん前もって患者さんにこの病院での第一例目ですということをお話しお許しを得て手術させて戴きました。

この患者さんは二つ返事で手術を承諾して下さいました。

そのご信頼に応えるべく、私たちはできる準備は何でもやるという方針で臨みました。

 

病院オープン直後のことですから、酸素やガスあるいは吸引などの配管の検査も専門家とともに全部自分で確認しましたし、

手術道具から人工心肺の器械まで実地予行演習を行い、手術シュミレーションも何度もこなし、

当日は豊橋ハートセンターからも1.5チーム分の応援部隊に来て戴き、

それこそ今日はいったい何例手術するのと聞かれそうなほどの態勢で臨みました。

 

そのおかげか、手術(僧帽弁形成術)はスムースできれいな結果が得られ、

患者さんは間もなくお元気に退院して行かれました。

必ずうまく行くとお互い信じて手術を行ったわけですが、

今思い出しても勇気と決断力と信頼を患者さんは持っておられたと思います。

 

以下はその患者さんからのお便りです。僧帽弁形成術から1年あまり後の最近、頂きました。

思わずジーンとしてしまいました。

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米田正始先生

ご無沙汰致しております。

手術から早1年が過ぎました。

先生はじめ皆様に大変お世話になりましてお陰さまで順調に回復しまして感謝いたしております

ありがとうございました。お礼のお手紙遅くなり申し訳ございませんでした。

 

テレビで心臓病の番組を見ていた時、米田先生が出て見えて手術の時にはお願いしたいなと、思っていました。

一度診察して頂ければと思いメールさせていただきました。

その日のうちに先生から返信を頂き、診察をしましょうと、予約を頂き 豊橋ハートセンターへ行きました。

 

やはり凄い、思っていた通りの先生、不安が一変に喜びにかわりました。

 

僧帽弁の逆流で色々検査して頂いた結果手術をすれば体も楽になり2週間位で退院できますと言って下さいました。

直ちにその場で決心しました。

 

先生を信じていた為手術に当たって何一つ不安がなく、当日を迎えました。

名古屋ハートセンター開業第一番の手術となり豊橋ハートセンターからも応援に来て頂き盤石の態勢で手術が行われました。

 

手術の時期が遅くなるに従い状態が悪化し人工弁にせざるを得ない時もあるとの事、早期決断により僧帽弁形成術で済みました、

一番良い時期にして頂いたと今では思っています。

 

大成功でした。先生 看護婦さん また周りの方々皆さん行き届いた配慮で安定した入院生活を過ごせました。

心より感謝致しております。

 

術後胸を切ったにもかかわらず何処も痛まず先生に何で?と 何度も聞いていました。

順調に回復したからだと思います。

退院後 地元の病院に通院する段取りも先生がお忙しい中足を運んでくださいました。

 

坂道を登る時、息切れ すぐに体がだるくなっていたのですが今では苦にならなくなり本当に毎日の生活が楽に成りスムーズに過ごしております、皆様のお陰です。

 

益々のご活躍お祈りいたします。

 

平成21年12月**日 *****

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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