Rhマイナスの血液は確かに数が少なく貴重ですが、
きちんと準備しますから大丈夫です
昔は心臓手術と言えば大きなものの場合などにはご家族やご友人にお願いし、
術当日に集まって戴き、生血(なまけつ)と呼ばれる、
採血直後の血液を輸血させて頂いたものですが、
現在はこうしたことは禁止されています。
前もって血液型やさまざまな特性を調べ、
血液を確保してからオペを行いますので、
Rhマイナスの血液型であっても心配いりません。
RhプラスでAB型の方も同様で血液は確保できますし、
確保を確認してから心臓手術となりますのでご心配にはおよびません。
ちょっと余談ですが昔のエピソードをひとつ。
心臓手術のそれも大手術で出血が予測された患者さんのときに、「身内」の方が大勢来て下さり、
病棟前の広いホールが満員になるほどでした。
聞けば、患者さんは剣道の先生で、そのお弟子さんが御恩返しにと数十名の仲間を連れて来院して下さったのでした。
当時私は修練医という下積みの身分でしたので、生血採血は私の役目でした。
身内の方々は口々に、「私は元気ですから1リッターでも2リッターでも取って下さい(^^)/」、
隣の友人が「こいつは血が余ってるからもっと取ってやって下さいね(^^)/」など、
心の絆の素晴らしさを感じるシーンでした。
現在は献血の皆さまや日赤の各位のおかげでこうしたこともなく、
前もってお願いすれば必要な血液は確保できるのです。
なお大切な血液を無駄にしないよう、
平素から出血の少ない心臓手術を目指し、
血液の確保も無駄のないように日々努力しているのはもちろんです。
たとえば私たちはエホバの証人の信者さんの場合も安全が確保できる限り、
受け入れるようにしています。
安全第一で徹底止血し無輸血がリスクを上げないよう日々努力しています。
それが信仰を守るお手伝いだけでなく、
他の患者さんとくに比較的まれな血液の患者さんはじめ多くの患者さんの安全にも役立つと思います。
余談ですが、患者さんの苦痛の軽減やより早い社会復帰をうながすため、
創の小さいミックス手術(MICS、ポートアクセス法など)をよく行っていますが、
こうした心臓手術の場合は骨を切らずにすむため、出血はほとんどゼロで、
無輸血手術のために役立っています。
そういうことで、必要な血液は確保して心臓手術は行う、
しかし出血を減らす努力と並行して、というスタンスでいるわけです。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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