最終更新日 2020年2月25日
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◾️かつて心臓手術は、、、
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心臓手術はかつては生きるか死ぬかの大仕事で、
美容どころではないという印象がぬぐえませんでした。
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現代でも他の臓器のオペと比べれば
まだまだ注意して大事にやるべき大事業であることに変わりはないと思いますが、
それでも多くのケースでは安全性がきわめて高くなり、
より早い社会復帰やなるべくきれいな状態をという考えが増えてきました。
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◾️その後、心臓手術は進化し、、
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私たちは安全第一という観点から心臓手術であまり美容を追及して来ませんでしたが、10年ほど前から
安全な範囲内で少しは美容にも振り向けてもよいと考えるようになりました。
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以前から女性患者さんなどでご希望の方に、
なるべく小さい皮膚切開とくに胸の上の部分(首の少し下のところ)の皮膚切開はなるべく小さくし、
夏服が楽しく着られるようにして来ました。
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◾️そしてミックスの進歩
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最近はミックス手術(MICS、小切開低侵襲手術のことで、代表格がポートアクセスです)の器械が進歩しましたので、
それを活用し、
安全確保できるケースで右開胸、小切開手術を行うようにしています。
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私たちは以前から右開胸による同様のものを再手術、再々手術、再々々手術などでの三尖弁や僧帽弁手術などで行ってきました。
もちろん安全性向上の目的です。
また心臓弁膜症いがいでも、心房中隔欠損症ASD、粘液腫などの安全なオペでも患者さんのご希望などを勘案して多数行って来ました。
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主に僧帽弁形成術や三尖弁形成術、
メイズ手術、あるいは僧帽弁置換術などでミックス手術を標準手術と考えています。技術や経験の蓄積により近年は大動脈弁置換術や大動脈弁形成術もなるべく同法で行うようにしています。
経験の蓄積に加えてこのために開発された新しい手術器械が役立っています。
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◾️ミックスの美容効果は結果です
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このように私たちのミックス手術は一義的には安全な範囲内で早い社会復帰を促すことを目的としていますが、
創部が普通の服では見えないため結果的に美容上も喜ばれています。
上の写真はミックスでの心房中隔欠損症、術後3か月の写真です。
創は乳腺を持ち上げないと見えません。
世間一般のミックスでは副次創と呼ばれる小さな創がいくつもできるのですが、私たちは LSH法 と呼ぶ方法で写真のようにほとんど創がありません。
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左の写真はミックス手術MICSによる僧帽弁形成術を受け元気になられた女性です。
やはり創はほとんどわかりません。
患者さんの心の負担を軽くするのに役立つことでしょう。
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◾️ミックスが医学的にできないケースにも出来るミックスが
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病気や手術の内容によって右小開胸が不向きなケースが少なくありません。
そうした場合でも小さい傷跡で、心の傷を小さくする事ができます。
恩師David先生譲りの方法で、正中ながら小さく皮膚切開をします。かなりの技術と経験を要しますが、患者さんの満足度は高いです。夏服が気兼ねなく着られるからです。
こうした方法も患者さんの状況やご希望に応じて使う事があります。
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◾️まとめ
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心臓手術における美容とは、安全の確保と、まず生きること、
そのうえで早期の社会復帰や快適さ、
そして美容上のメリットという順番という心臓手術の基本方針は忘れないようにしています。その中で様々な方法と技術を駆使して患者さんの満足度を上げるようにしています。
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参考ページのIndex:
ハートポートとは
とくにポートアクセス手術とは
その位置づけは
それが前向きに安全な場合
美しいLSH法とは?
かかる費用は?
危険なの?
その術後の痛み軽減について
社会復帰が早いわけは?
胸骨「下部」部分切開法とは
ビデオ :ポートアクセス法による僧帽弁形成術
ビデオ :連合弁膜症のご高齢患者さんへのミックス法・3弁手術
僧帽弁
ミックスによる僧帽弁形成術
ポートアクセスによる弁形成術
大動脈弁
ミックスによる弁置換術
同、弁形成術
三尖弁
ミックス法による弁形成術
患者さんやご家族からのお便り
お便り43 がんの術後に心臓腫瘍がみつかった患者さん
お便り46 遠方からご自分の信念で来院下さった患者さん
お便り48: ミックスですみやかに社会復帰された患者さん
お便り50: 大動脈二尖弁と上行大動脈瘤の患者さん
お便り54: ポートアクセス法で僧帽弁形成術を受けた若者患者さん
お便り59: 被災地支援へ!同法の弁形成術を受けられた患者さん
お便り61: ミックスのデービッド手術のため三重県からお越し下さった患者さん
お便り62: ミックスの僧帽弁形成術と冠動脈バイパス手術を受けた患者さん
お便り63: ポートアクセスの複雑弁形成術を受けられた患者さん
お便り65: 同法による僧帽弁形成術で元気になられた患者さん
お便り66: バルサルバ洞破裂と心室中隔欠損症などを克服した患者さん
お便り67: ミックスで右室二腔症の手術を受けられた患者さん
お便り68: ポートアクセス法の弁形成術を受けたバーロー症候群患者さん
お便り70: 自己心膜で大動脈弁形成術(再建術)をミックス法で受けた患者さん
お便り71: 同法で大動脈二尖弁形成を受けた15歳の患者さん
お便り72: 二弁置換とメイズ手術をミックス法で受けた患者さん
お便り73: リウマチ性連合弁膜症と心房細動をミックスで克服
お便り74: ポートアクセス法で弁形成術とメイズ手術を受けた患者さん
お便り78: ベントール手術をミックスで受けられた患者さん
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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