収縮性心膜炎―心臓「周囲」の病気ですが重くなると危険な状態に

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◾️収縮性心膜炎とは

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収縮性心膜炎は一般にはあまり知られない病気ですが、

ちょくちょくある病気で、

重い心不全を起こすことがあり、放っておけば危険なこともある病気です。

心臓の外側に「心膜」という組織があります。

これが袋のような形で覆い守っています。

左図がその正常の姿です。

Normal and CP この心膜が何らかの原因でぶ厚く、硬くなり、まるで鎧(よろい)のように心臓を包んでしまい、

そのためにこれが動きにくくなり心不全になるのが収縮性心膜炎です。

右図のように、心の内側が悪くなくても、

外から閉じ込めた形となるため重い心不全が発生します。

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◾️収縮性心膜炎の原因は

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 原因としてかつては結核が多く、ついでウィルス性の感染が挙げられます。

また過去の心臓手術も原因となり、

とくにその手術のあと出血が多かったり、

術後心臓周囲に血液を含んだ水がたまっていたケースなどでも起こりやすい印象があります。

カテーテルによる冠動脈治療(略称PCI)で冠動脈を破ったケースでは、

たとえ出血が収まっても後日、収縮性心膜炎が発生することが知られています。

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◾️収縮性心膜炎の症状は?

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Ilm19_cb01054-s収縮性心膜炎では下肢や顔がはれたり、肝臓が膨れてお腹が張ったりします。

また少し歩いただけでも息切れが起こります。

肝臓が腫れたままではうっ血性肝障害がおこり、

さらに進めばうっ血性肝硬変となり命を落とします。

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◾️収縮性心膜炎の診断は

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 診断はエコーやCTで分厚くなり硬くなった心膜をみつけ、

またそのために心機能が抑えられているのがわかればつきます。

場合によってはカテーテルをもちいて右房や左房の圧が高くなり、

また心室の圧のパタン(dip and plateau ディップとプラトーと呼びます)からも正確な診断がつきます。

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◾️収縮性心膜炎の治療は

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Ilm09_dd05001-s収縮性心膜炎の治療は、軽症なら利尿剤などのお薬で行けますが、

重症になるとお薬でも追いつかなくなります。

この状態ではすでに肝臓のうっ血から危険な状態が近づいていることも多く、

肥厚した心膜を外科手術で切り取ることが必要となります。

心臓の前側、左右、そして横隔膜側などの分厚く硬い心膜を取り去ればこれへの圧迫が取れて改善します。

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◾️私たちの手術の工夫

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 私たちはオフポンプ冠動脈バイパス手術の経験を活かして、

心臓を無理なく脱転つまりひっくり返し、

分厚く硬くなった心膜を裏側を含めてなるべく全部取り去るようにしています。

そうすることによって症状が完全にとれ、予後が改善する可能性が高くなるからです。

今後硬くなる組織を残さないというのは安心感も高まるでしょう。

(参照:患者さんのお便り)

さらにミックス(小切開低侵襲手術)とくにポートアクセス法でこの収縮性心膜炎の治療を行い、きれいな創と早い仕事復帰を促進するようにしています。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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