Valve-in-Valve (バルブ・イン・バルブ)手術について―患者さんに朗報

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TAVI(経カテーテル的大動脈弁植込術) Valve-in-valve-paperの今後の発展的応用のひとつとして

valve-in-valve(バルブ・イン・バルブ)が検討されています。

心臓手術の新たな展開の一例です。

 

右図はそのシュミレーションを示します。

生体弁の中にTAVIがきれいに収まり、新たな生体弁として機能する形ができています。

 

この方法は以前の心臓手術で植え込まれた生体弁が何年もたって壊れてきたとき、

再手術の代わりにTAVIで折りたたんだ生体弁を古い生体弁の中でポンと広げ、

取り付けるのです。

これに Ilm18_ba03023-sよって生体弁がよみがえり、結果的に生体弁寿命が大きく伸びることになります。

 

またTAVIで取り付けがうまく行かないときに、もう一個のTAVIを追加して植え込み、

正常の弁機能が発揮できるようにするという使い方もvalve-in-valveの一例です。

 

ヨーロッパの報告では24例の生体弁が壊れた患者さんでvalve-in-valve(バルブ・イン・バルブ)のTAVIが行われ、

そのうち大動脈弁が10例、僧帽弁が7例、肺動脈弁が6例、三尖弁が1例ありました。

僧帽弁の一例を除き全例で手術は成功し、手術死亡はありませんでした。

脳卒中が1例、術後30日以内の死亡が1例あったそうです。

この治療前は88%の患者さんがNYHA III度またはIV度であったのが、

術後は88%がNYHA I度または II度に改善したそうです。

 

Sapienという弁を用いたTAVIの検討では、

463例の経大動脈TAVIの0.6%が、575例の経心尖部TAVIの3.3%が

この valve-in-valveだったと言います。

 

このようにvalve-in-valve法は生体弁の手術を受けられた

(あるいはこれから受けられる)患者さんたちに大きな朗報となるかもしれません。

これによって再手術が回避でき、

Orti046-s結果的に生体弁の寿命が2倍とか3倍に伸びる結果になり得るからです。

 

こうした新たなテクノロジー、方法をうまく組み合わせ、

駆使して長期間の安全性や高いQOL生活の質の維持ができれば素晴らしい治療になるでしょう。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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Comments

  1. N .O says

    うっかりしていてこの記事を今日読ませていただきました。そして思わず歓声を上げてしまいました。何故なら私も再手術を内心恐れてる患者の一人だからです。何となく不安を抱えながらの毎日はやはりストレスです。一応簡単にお聞きしてはいたのですが、ちゃんと書いてくださっていたのですね。よく分かりました。本当に有難うございます。このように米田先生が最新で最善の治療を私達のため提供すべく日夜努力して下さっている事に心から感謝致します。せっかく治して下さった心臓これからも大切にして喜んで働いてくれるよう努めたいと思います。心からの感謝をこめて。