お便り38 僧帽弁の再々手術で元気になられた患者さん

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心臓手術とくに心臓弁膜症では何十年という長い間に再手術(二度目のオペ)、

再々手術(三度目のオペ)

あるいはそれ以上の手術が必要になることがあります。

別の弁が悪くなったり、もとの弁が永い間に疲れ壊れるとか、

人工弁が壊れたりパンヌスと呼ばれる自己組織が障害になったりとか、

冠動脈や大動脈に新たな病気が発生したりとか、さまざまなタイプがあります。

 

P1120251b そこで患者さんを長年月にわたって守るために

複数回の手術が必須なことは少なからずあります。

そうした際の問題点

心臓と周囲の組織との癒着が高度になることや、

永い病気のために

心臓や肺あるいは腎臓肝臓などの内蔵や全身が衰弱していることがある点です。

 

そのため再手術、再々手術と、オペ回数が増すにつれてその難易度もリスクも上がります。

最近は医療安全が叫ばれ、

リスクの高い再手術や再々手術を断る病院が増えたのはこうした理由からです。

 

救命努力を十分せずに患者さんをを断る病院が増えました
しかし再手術が患者さんの生きる唯一の道である場合、

それを拒否するというのは、その病院にとっては「安全で安心」な保身策となるでしょうが、

患者さんにとっては地獄に突き落とされるのも同然の状態となってしまいます。

 

そのため私たちは私たちなりに平素から努力し、

技術やノウハウの向上を常に図って、

やらねばならない心臓手術は引き受けるようにして来ました。

患者さんを高い確率で助けることができると読めば、正面から取り組んでいます。

かつてこの姿勢が、ある国立大学病院では不評で、

お助けした多数の重症患者さんのことはさておいて、

たまたま出血傾向が強くて再開胸止血(その後はお元気に)などがあった一部の患者さんだけをとりあげて批判されたこともありました。

しかし私たちがやらなければ患者さんはどうなるのですかという気概で努力を重ねてきました。

 

これまでの患者さんからのお便りの中にもそうした事例が含まれています。

たとえば お便り5お便り16お便り26お便り37などです。

心臓弁膜症冠動脈疾患大動脈疾患などさまざまな病気がありましたが心臓手術によってのみ生還あるいは安全確保ができた方々です。

今回、また新たな患者さんの再々手術をお引き受けし、

首尾よく成功し退院の時を迎えられました。

 

Ilm08_cf05012-s以下のお便りはその患者さんの娘さんからのメールです。

ご迷惑にならないよう、個人情報や病院名は伏せて載せることにします。

3度目のオペで、心臓と周囲組織との癒着は高度でしたが

とくに出血も心不全もなく、

僧帽弁三尖弁を再手術にて治して患者さんはその翌日から歩けるほどお元気になられました。

溶血も解消し、貧血の進行も止まりました。

これから元気な生活を楽しんでいただければと思います。

 

 ******最初にいただいたメールです。HPのお問い合わせフォームのため簡略型になっていますが、いのちの危機が迫っているという緊迫感がひしひしと伝わってくる内容でした********

 

71歳の母親の事です。

**病院で32年前に僧帽弁形成術を、

20年前に僧帽弁置換術を受け、

5ヶ月ほど前から溶血になり

現在1ヶ月に1度輸血をしています。

ここ1、2ヶ月腎臓機能が低下しつつあり、顔に黄疸が出始めています。

**病院では、輸血しか治療がないと言われているのですが、

そちらの病院で弁の再々手術を拝見しました。

私の母にも手術という選択肢はあるのでしょうか?

 

*********手術のあと、退院間近にいただいたメールです*************

お便り38実物 米田先生

この度は難しい手術をご快諾いただき、母を助けてくださいまして本当にありがとうございました。

感謝の気持ちでいっぱいです。

 

家の事情で埼玉に急遽帰ることとなってしまい、 

命の恩人の米田先生にしっかりとご挨拶が出来なかったこと平にご容赦ください。

私が知っている限りでは、

2007年・2008年の頃に大腸検査のために2度わたり入退院を繰り返した頃から、

心臓の周囲逆流が酷くなり、溶血が進み、

2010年11月頃から腎臓、肝臓、肺の機能が低下しつつあったのか、

足が象のようにむくみ、顔に黄疸症状があらわれ、

家の中を歩くこともままならない程になっていました。

 

母親も、何度か**病院に手術を打診したのですが、そちらの回答は、リスクが高すぎるのでどうする事も出来ないと、本人、家族一同、もう手術をして助かるという選択肢はないものとずっと諦めておりました。

山梨から東京の**病院へ2時間かけて行き、

月に1度の輸血を行うだけという、治る見込みのない延命治療を1年以上続けて、

日ごと死期がせまっているのではないかと不安を抱えながら生活を続けていた母親の事を思うと、

自分の無力さを感じておりました。

 

いてもたってもいられず、なんとかしてあげたいという思いから

「母親のような症状を持った人が助かったとういう事はないのか?」と、インターネットを検索し、

やっとのことで米田先生のHPにあります『僧帽弁の再々手術』にたどり着き、

施術される先生がいらっしゃるという事を知ったときは

うれしさのあまり思わず叫んでしまうほどでした。

 

そして、HPから先生へ問い合わせが出来ることを知り、

藁にもすがる思いでお願いしたところ、

先生から早速お返事をいただき、

更に数回に亘って親身なアドバイスをくださり涙が出てまいりました。

 

早速、両親と家族へそのことを報告し、家族の総意で先生にお任せすることといたしました。

先日の土曜日に、5階に入院されている患者さんのご家族の方とたまたまお話しをする機会があり、

先生が名医であられる事

世間で言われているスーパードクターである事を、知りました。

 

そのような先生が、会ったこともない患者に対しても救いの手を伸べてくださることに、ただただ感謝いたしております。

 先生やスタッフの方々のお力で、母も命をいただきました。 

世の中には、母のような症状で苦しんでいる方も多くいるのではないかと思います。

母が元気になることと、

こんなすばらしい先生がいらっしゃることを一人でも多くの方にお伝えすることが

私どもの恩返しだと思っております。

 

 
先生がこれからもご活躍されることを心よりお祈り申し上げ

私どものような家族の救世主でいてくださること願っております。

 米田先生本当にありがとうございました。

 

*********** 上記のお便りをホームページに掲載する許可をお願いしたところ、以下のお返事を戴きました。皆さんよく頑張って下さったと私も感謝しています **********

米田先生さま

勿論です。

暗い闇の中にいたであろう母親に、

光の道を与えてくださった先生の事を、

母親と同じような病気で苦しんでいる方、またご家族の方のお力になれる事が少しでもあるならば、

どうか私からもお願いしたく思います。

お忙しいのに、お返事いただいてありがとうございます。

本当に母親、家族一同、先生には何度申し上げても足りないくらい感謝しております。

米田先生、本当にありがとうございました。

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Heart_dRR
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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