最終更新日 2022年2月4日
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◾️ミックスの展開
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ミックス(MICS、小切開低侵襲心臓手術、代表例はポートアクセス)が
患者さんに喜ばれています。
あるいは僧帽弁置換術にミックス法は大変役立っており、
安全性を確保しつつ、心臓手術の質を落とさず、
術後の苦痛軽減・早い社会復帰や少ない輸血とともに創が小さくみえにくいというメリットが喜ばれています。
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◾️そしてミックスのメイズ手術
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上図で左側は従来の胸骨正中切開のときの創、右側はミックスのメイズでの創です。
最近はさらに創が小さくなっています。
胸骨正中切開は安定した、良い方法なのですが、
骨をいちど切る必要があるため、
完全に治るまでに2-3か月かかるのが弱点です。
皮膚や筋肉だけなら1-2週間でほぼ治りますから社会復帰が早くなるのは当然かも知れません。
私たちはミックス手術には肋間神経ブロックも併せて行うため、
術後の痛みが少なく、それが回復をさらに速めているように感じます。
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◾️弁膜症手術+メイズ手術もミックスで
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弁膜症手術と同時に心房細動に対するメイズ手術もミックス で行っています。
僧帽弁や三尖弁の手術ができる以上、メイズ手術も当然できるのですが、
実際にやってみるとその良さがさらに際立ちます。
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メイズ手術そのものは左心房の内側から冷凍凝固法をもちいて、完全メイズ手術を意識した形で行い、冠静脈洞の心外膜側も処理をして、よりしっかりと除細動ができるようにしています。
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2012年4月の日本不整脈外科研究会で発表しましたが、9例での除細動率は100%でした。
必要に応じて右房側のメイズも行います。冷凍凝固法では食道その他合併症もこれまでありません。
(心臓手術・事例:視野出しがちょっと難しいポートアクセスの僧帽弁形成術とメイズ手術)
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◾️どんな患者さんにミックスのメイズ手術を?
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現在のところ、オペの適応は不整脈の薬が効きづらく、
内科のカテーテルアブレーション(カテーテルの先端につけた電極で熱により悪い信号をブロックします)が不成功であったりできなかったりという患者さんに行っています。
また近年注目を集めている心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症に対しても心房縮小メイズ手術を弁形成と同時にミックスで行うとより良い状態になると期待されています。
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近い将来、オフポンプ小切開メイズ(内科とのハイブリッド手術です)が実用化するまでは
このミックスでのメイズ手術がお役に立ちそうですし、
その後も患者さんによっては良い適応となるケースがあるかも知れません。
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◾️孤立性心房細動(ローンAF)へのミックスメイズ手術
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いわゆるlone AFと呼ばれる病気に対するMICSメイズの手術事例を供覧します。
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写真はミックス(MICS)でのメイズ手術の6か月後の創です。
カテーテルアブレーションを2回受けても治らなかった心房細動がきれいに治って喜ばれました。
わたしたちのLSH法とよぶ、副次創を最小限におさえる方法でメインの傷以外の傷跡は1つだけです。普通のMICSよりもより目立たなくなります。
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乳腺を持ち上げても傷跡はあまり目立ちませんので、普通の状態ではほとんど見えません。
患者さんの肉体的・精神 的負担を軽減するためにも役立っているようです。
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◾️心房細動は怖い病気です
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心房細動は野球の長嶋さんやサッカーのオシムさんの例を見るまでもなく、
予後が悪い病気で、その悪さは最近まであまり知られていませんでした。
これからはきちんと治し、
あるいはコントロールすることで健康な生活を守れるようにしたいものです。
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参考ページのIndex:
とくにポートアクセス手術とは
その位置づけは
それが前向きに安全な場合
美しいLSH法とは?
かかる費用は?
ハートポートとは
危険なの?
それと術後の痛み軽減について
社会復帰が早いわけは?
美容について
胸骨「下部」部分切開法とは
ビデオ ポートアクセス法による僧帽弁形成術
ビデオ 連合弁膜症のご高齢患者さんへのミックス法・3弁手術
僧帽弁
ミックスによる弁形成
同、弁置換
ポートアクセスによる弁形成術
三尖弁
ミックス法による弁形成術
患者さんやご家族からのお便り
お便り43 がんの手術後に心臓腫瘍がみつかった患者さん
お便り46 遠方からご自分の信念で来院下さった患者さん
お便り54: ポートアクセス法で弁形成術を受けた若者患者さん
お便り59: 被災地支援へ!同法の弁形成を受けられた患者さん
お便り62: ミックスの弁形成と冠動脈バイパス手術を受けた患者さん
お便り63: ポートの複雑僧帽弁形成術を受けられた患者さん
お便り65: 同法による弁形成で元気になられた患者さん
お便り68: 同法の弁形成術を受けたバーロー症候群患者さん
お便り72: 二弁置換とメイズ手術をミックスで受けた患者さん
お便り73: リウマチ性連合弁膜症と心房細動を同法手術で克服
お便り74: ポートアクセスで弁形成術とメイズ手術を受けた患者さん
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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