昨日(平成23年6月4日)、第二回名古屋ハートフォーラムを名古屋市錦にある名東京第一ホテル錦にて開催いたしました。この会はもともと春日井ハートフォーラムとしてスタートしたものですが、多数のご参加をいただき、春日井だけではもったいない、もっと広域でやろうという声を頂いて、名古屋の会に発展したものです。
循環器関係の先生方だけでなく、循環器を専門としない一般開業医の先生方にもお役に立てるようにという趣旨しから、内容を吟味しました。
そして2部構成とし、第一回のときと同様に、前半は心臓血管外科の新情報を、後半は循環器内科の中から心エコーのお役立ちセッションとしました。灰本クリニックの灰本元先生の軽快な司会で研究会は進みました。
まず心臓血管外科の情報として、私、米田正始が「心臓血管手術、低侵襲化への努力」ということで、最近私たちが力を入れている小切開の心臓手術(略してMICS、左図をご参照ください。左が従来の胸骨正中切開、右がMICSです)やステントグラフト(EVAR)、カテーテルで入れる大動脈弁(略してTAVI)をご紹介しました。
とくにMICS手術(ミックス手術、小切開低侵襲手術)は創がほとんど目立たないのと術後痛みが少なく社会復帰が早いため患者さんの評判がよく、ご参加の先生方にも関心をもっていただけたようでした。僧帽弁形成術それも比較的複雑なものや、難治性心房細動へのメイズ手術などの症例を提示しました。
ステントグラフト(EAVR)は内科と共同作業をする今日的な方法で、余病をもつ患者さんにも安全に大動脈瘤が治せるため、今後の展開が楽しみといわれました。TAVIはまだこれからの技術ですが、これによってこれまで手術・治療ができなかった患者さんを始め、さまざまなところでお役にたつものとして期待が集まりました。同時に、これまで力を入れて来た大きな手術や重症心不全の手術ももっと短時間で、患者さんの体力を温存しつつ手術する方法をご紹介しました。
循環器内科のほうでは、川崎医大循環器内科教授の吉田清先生に心エコーの基本講座を行って頂きました。これは6回連続の講義で、これをすべて学べば、心エコーの基本は習得できるとあって、多数の先生方の関心を呼んだようです。それに引き続いての実習セッションでは吉田先生と、その教室の尾長谷喜久子先生がコーチをやって下さった、参加者全員に実技練習して戴きました。
またVスキャン(左図)という、白衣のポケットに入る、しかも画像がきれいで精度の高い優れたエコーマシンでも実習していただき、会場は熱気に包まれました。こうした聴診器レベルの便利な器械を使いこなせば、プライマリケアでの循環器診療もさらに精度があがり、患者さんへの恩恵は大変大きなものがあると思いました。
循環器や心臓血管外科の話題にとどまらず、最近立ち上げたローカーボ食研究会の話題も出て、充実した楽しい会になりました。循環器道の大先輩であるSLクリニック(SL医療グループ)の中川喬市先生にもご参加いただき、光栄に思いました。
次回、第三回名古屋ハートフォーラムは8月27日土曜日午後4時半から開催されることになりました。場所は未定ですが、名古屋駅になるべく近い、便利なところを考えています。7月24日午後2時からの日本ローカーボ食研究会ともどもよろしくお願い申し上げます。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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