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◼️粘液腫は腫瘍?血栓のなれの果て??
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粘液種の起源はかつては血栓由来とする血栓説や
心臓の未分化細胞から発生する腫瘍とする腫瘍説などがありました。
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実際、粘液腫の中には血栓が器質化(つまり血栓を患者さんの組織が取り囲んである種の組織のようにしてしまう)したように見えるものも少なくありません。
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◼️論争に決定打が
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この 論争に終止符を打ったのがアメリカのメイヨクリニックのカーニーCarney先生(写真左)でした。
カーニー先生が家族性の粘液腫つまり遺伝して同じ家族のなかに何人も粘液腫が 発生するという家系を報告し、
のちにカーニー症候群と言われる疾患を詳細に記載されました。
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これは血栓説では説明がつかず、
以来、粘液腫は心臓の腫瘍として認識されるようになりました。
その後の研究で粘液腫は心房中隔にある、特別な細胞を起源としているとの説があります。
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◼️腫瘍説を踏まえた手術
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その是非はともかく、腫瘍説をふまえて、粘液腫を心臓手術するときには完全切除する、
つまり悪性腫瘍に準じた切除をすることが長期成績の向上につながると考えられます。
粘液腫を甘く見て不完全切除すると、後日再発という形でしっぺ返しをくらうことがこれまでの多くの報告から見てとれます。
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一刻も休めない心臓ですから完全切除だけでなく、完全再建する、これが粘液腫の患者さんを長期間助けることにつながるのです。くわえてなるべく創も小さく痛みも軽いミックス手術が理想的。経験豊かなチームの手術が勧められるわけです。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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