最終更新日 2020年3月2日
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患者さんの中にはこう考えてなんとか心臓手術を回避できればとされることがあります。
そう思うのは人情ですし、気持ちはよくわかります。
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なにしろ、今、この瞬間、その患者さんは生きておられるわけで、
心臓手術しなければこのまま何とかずっと同じ状態つまり生きることができるんじゃない?
と思うのは無理からぬことです。
ましてじっとしておれば苦しくないという状況は当初はよくあることです。
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しかし、たとえば弁膜症の内容によっては5年間で半数の方も生きられないといったパタンの病気もあるのです。あるいは狭心症で冠動脈の病気の部位によっては3か月も生きられないということもあります。
患者さんにとっては、ご自身が亡くなるときの姿は想像つきません。だからこのままそっとしておけば生き続けられると思ってしまうのです。
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しかし心臓病によっては、心臓手術なしでは早晩、気管支炎や肺炎を合併してそれが命取りになるとか、血栓ができて脳に流れて脳梗塞になって命を落とすなど、さまざまな二次的問題で亡くなることが少なくないのです。これはその心臓病の自然経過の検討データが物語るところです。
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だからこそガイドラインなどで、心臓手術するほうが長生きできることが明らかな場合はそれを勧めているわけです。大勢の専門家が集まり時間をかけて造ったガイドラインですから信頼に足りるものです。
心臓手術しなくても大丈夫かどうかは、まずその病気の内容をしっかりと把握するところから始まるのです。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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