慢性大動脈解離の治療ガイドライン

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大動脈解離つまり大動脈の壁が内外に裂けて血液がその隙間に流れ込む病気では、タイプによって緊急手術しなければまもなく死亡することが多くあります。

いわゆる急性大動脈解離のA型と呼ばれる、主に上行大動脈が解離で壊れるときですね。

その一 Aortic Dissect方、B型といわれる、下行大動脈が解離する病気では通常手術ではなく、点滴やお薬で治します。

 

しかしいずれの場合でも、その後時間が経って、解離した大動脈や手術した以外の部位 の大動脈が膨らんできて破れそうになれば、つまり慢性大動脈解離の状態になれば手術が必要がことがあります。

 

以下はその慢性の大動脈解離の患者さんのための治療ガイドライン(抜粋・要約)です。

 

◆大動脈解離における亜急性期および慢性期治療の適応

 

クラスI つまりつよくお勧めできる場合は

 

大動脈の破裂、大動脈径の急速な拡大(6か月間で5mmを超える)にたいする心臓血管手術

大動脈径の拡大(60mm以上)をもつ大動脈解離例に対する心臓血管手術

そのいっぽう、大動脈の最大径50mm未満で合併症や急速な拡大のない大動脈解離には内科治療(つまり点滴やお薬など)が強く勧められます

 

クラスIIa つまりお勧めできるのは

 

お薬によりコントロールできない高血圧をもつ偽腔開存型大動脈解離に対する心臓血管手術

大動脈最大径55-60mmの大動脈解離に対する心臓血管手術

大動脈最大径50mm以上のマルファン症候群に合併した大動脈解離に対する心臓血管手術

 

クラスIIb つまりお勧めできるかどうかは微妙、ケースバイケースなのは

大動脈最大径50-55mmの大動脈解離に対する心臓血管手術

 

詳細は日本循環器学会のホームページなどのガイドラインの項をご参照ください

 

定期検診(健診)は大切ですなおステントグラフト(略称EVAR)は複雑に偽腔(解離腔)が入り込む慢性解離には使えないことが多いです。また大動脈基部などにも使えません。将来の展開は期待されますが。

 

ともあれ大動脈解離は急性期を無事乗り切ってお元気になられたあとも、定期健診を受けて、安全を確保することが安全上必要な病気です。

ゆめゆめ油断されることのないように、お願いします。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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