慢性腎不全・血液透析の患者さんは動脈や心臓の弁が壊れやすいことが知られています。
患者さんは以前に大動脈弁置換術を受けられた80歳近い透析患者さんですが、しだいに僧帽弁も壊れ、狭くなり僧帽弁狭窄症を合併されました。
心不全が悪化し透析もやりづらいという困った状況になりました。
ご家族が米田正始のホームページを探し当て、連絡を取ってこられました。
岐阜県の山間部からはるばる来院されました。
担当の先生も、患者さんが生きる最後のチャンスと全面的に支援くださり、大変良いチームワークで入院までの連携作業ができました。
しかし調べてみますと上行大動脈に石灰化があり、しかも肺機能もかなり悪く、年齢も比較的ご高齢のため、あまり本格的な心臓手術にも難があるという厳しい状況でした。
僧帽弁じたいも血液透析の患者さんによく見られる石灰化が高度な病変で、単純には人工弁を取り付けにくい状態でした。
さまざまな工夫をこらして脳梗塞を予防しつつ、僧帽弁にアプローチし、十分な視野を確保してから、超音波破砕法(CUSA、キューサ)などを駆使して石灰化を十分にとり、人工弁を縫い付けました。
石灰を取り去ったあとの組織が大変弱いため、十分な補強をかけてまとめました。
三尖弁も形成術を行い、良い形になりました。
大変ハイリスクな患者さんでしたが、よく頑張って下さり、順調に回復され、翌日には一般病室で運動を始めるほどでした。
以下はその患者さんのご家族からのお礼状です。
**********ご家族からのお便り***********
米田先生
いつもより遅い春の訪れでしたが、飛騨でも山桜が満開になりました。
今年は名古屋と飛騨高山で二度の桜を楽しみ、喜びひとしおの春を迎えさせていただきました。
この度は父****の入院、手術に関しましてひとかたならぬお世話になりましてお礼の申し上げようもございません。
先生のホームページにメールをさせていただけた事に大変感謝しております。
透析患者で二度目、高齢の父の手術は大変なものになりましたが、本人の意志の強さと希望と共に、先生の丁寧なご説明と的確なご判断とご処置のおかげで一命をとどめることができました。
こちらの**病院にて今迄の様に透析治療の為に通院しておりますが、病院のスタッフの方も回復ぶりに驚かれております。
さほど傷の痛みもなく、これからも生かしていただいた命を大切にしてもらいたいと、私達家族も出来る限り協力していくつもりです。
入院中も、廊下でよく声をかけていただき、付添いの母のことも励まして下さって、ありがとうございました。
今後も何かの際にはご指導をお願い致します。
お忙しい毎日のことと思われますが、お身体にお気をつけ下さい。
北村先生、深谷先生、佐藤先生、病棟の看護師の皆様にも大変お世話になりました。よろしくお伝え下さい。
書中にて失礼でございますがお礼の言葉とさせていただきます。
かしこ
岐阜県**市**町
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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