右室二腔症はこどものころに手術することが多い病気ですが、中には大人になってから徐々に病気が進行し、手術が必要になることもあります。
右室の中に筋肉が張り出して隔壁のようなものをつくり、そのために右室が無理をします。
あまり重症になりますと突然死することもありますし、不整脈や心不全で悩まされることもあります。
若い患者さんが多いだけに、創をできるだけ小さく目立たなくし、こころの傷も小さくなるようにミックス手術を心掛けています。
この手術ではなかなかミックス手術を行う病院がないためか、遠方からもよくお越しいただいています。
以下はその患者さんのご家族からのお便りです。ひとつは手術前、あとの2つは手術後です。
勉強し決意し、手術前の緊張とそれからの頑張り、健康を勝ち取られたあとのよろこびが伝わってきます。
私たちを選らんで戴いたことを光栄に思っています。
やはりお互いの心の絆は大切ですね。
***********手術前に頂いたメールです*************
名古屋ハートセンター 米田先生へ
娘が右室二腔症の手術で8月3日入院、6日手術でお世話になります群馬県
の***です。
猛暑の日が続き、先生におかれましてはつつがなくお過ごしでしょうか?
娘は、大学の前期試験が始まり、忙しい日々を過ごしているおかげで、
手術について若干、気持ち的に不安はあるのでしょうが、入院1週間前になっても
あまり落ち込むようなこともなくまた、娘の体調も特に問題はないので両親ともホッ
としております。
娘も私たち両親も先生の手術について全面的に信頼していることが娘にとって精神的
に落ち着かせているようです。
娘は、海外留学をしたいという夢に向かって、手術を受け健康な体に早くなりたいと
いう前向きな気持ちも支えになっているようです。
ただ、家では正常な血圧なのに、病院で検査や心臓カテーテルを受けるとき、娘は緊
張のせいか、血圧が急に上がってしまったりします。
手術のときもそのような状況にならないか少し心配しております。
私たち両親も名古屋での手術に向けて準備を進めているところです。
それでは、米田先生、スタッフの皆さん、どうか、どうか娘の手術をよろしくお願い
いたします。
平成24年*月**日
群馬県**市 *****
********** 退院後いただいたメールです *********
名古屋ハートセンター 米田先生へ
娘が8月6日に右室二腔症の手術でお世話になりました群馬県の***です。
猛暑の日が続き、先生におかれましてはつつがなくお過ごしでしょうか?
さて、18日の退院に際しましては、予定より早めたため、先生方、看護師さんには
ご迷惑をおかけしました。
帰省ラッシュの名古屋駅で、さすがに娘は人混み酔いをしてしまいましたが、新幹線では落ち着き、無事に帰宅しました。
帰宅後の娘は、ホッとした様子で、荷物の片付け、犬と散歩、母と一緒に食料の買い物など、元気に過ごしています。
頓用で1日2回は服用していたロキソニンも 1日1回に減りました。
23日には****病院に受診しました。**先生から、「順調な経過で、問題ないで
しょう。何かあれば、いつでも受診を」といわれ、次の北村先生の受診日まで、間に
合うようにお薬をいただきました。
血液検査値のデータは下記のとおりでした。
(中略)
猛暑で、娘は胸帯が蒸れると申しております。特に寝るときに外したいと言っていま
す。
寝るときだけ胸帯を外して寝ても大丈夫でしょうか?
傷はかさぶたも少しずつとれ、きれいになってきています。
手術後の経過も順調で、傷も小さくすみ、娘も私たち親も名古屋ハートセンターで手
術を受け、本当によかったねと言っております。
本当にありがとうございました。
1ヶ月検診には、また、センターに伺いますのでよろしくお願いします。
まだまだ、暑い日が続く模様ですので米田先生、センターの皆様におかれましてもお
体に気をつけてお過ごしください。
平成24年*月**日 群馬県 ****
************* その後のメールです ***********
名古屋ハートセンター 米田先生
早々にご返信いただきありがとうございます。
娘は今日、暑い中、ゼミのため電車で大学に行き、帰ってきました。
暑さのためか、少々、疲れたようですが、手術後3週間ですでにゼミに復帰できると
は思いませんでした。
あまり無理をしないように娘には言っておりますが、傷の痛みもないようですので、
無理はしない範囲で手術前の生活に戻りつつあります。
9月には多文化交流でインドネシアのお友達が2泊の予定で我が家に来る予定です。
今から娘とともに楽しみにしているところです。
先生からご依頼のありましたホームページについてはまったく問題ありませんので、掲載よろしくお願いします。
私たちも名古屋ハートセンターの米田先生のホームページを閲覧し、右室二腔症について詳しく知ることもできましたし、センターで患者さんのご意見が掲載されているノートを見て、名古屋ハートセンターで手術を受ける決心の一助となりました。
やはり、心臓の手術ですので手術前は親子とも不安はありましたが、術後は、親子と
も本当に手術を受けて良かったと思っております。
これから娘が、自分の好きなこと、やりたいことへ挑戦(たとえば登山、海外留学な
ど)するとき、心臓の心配をしなくてすむようになったことは、娘にとって人生への
幅が非常に広がり、親も娘の挑戦を柔軟に受け止められるようになると思います。
本当にありがとうございました。
それでは、9月**日に1ヶ月検診で名古屋ハートセンターに伺います。
よろしくお願いいたします。
註:米田正始は現在、医誠会病院(手術と外来)と仁泉会病院(外来)で仕事をしています。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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