お便り90: 肝機能障害のある三尖弁閉鎖不全症にミックス手術を

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患者さんは80歳男性で三尖弁閉鎖不全症のため心不全を合併し、近くの大学病院で手術が必要と言われてから米田正始の外来へ来られました。やや遠方の大阪からお越しになりました。


A335_010心不全で労作時の呼吸困難と肝うっ血のため肝機能障害も発生していました。夜間も苦しいため在宅酸素治療も受けておられました。

検査の結果、高度の三尖弁閉鎖不全症と高度の肺高血圧症が認められました。肺高血圧の原因は左室の拡張機能障害つまり左室が硬くなって広がりにくいためと判断されました。

そのままでは三尖弁だけ治すと肺高血圧に打ち勝って血液を送り出すちからが右室にない場合、いのちにかかわる事態になります。そこでまず入院していただき、肺高血圧や肝臓を含めた全身の治療を行い、幸い肺動脈圧が改善したため、そのタイミングで手術を行いました。

手術はポートアクセス法のミックス(小切開手術)で、三尖弁形成術と心房細動へのメイズを行いました。

幸い、術後経過は良好で、術後まもなく元気に退院されました。

 

以下はその患者さんのご家族からのお便りです。

 

*********** お便り ***********

 

名古屋ハートセンター
米田正始先生

昨年十月、父、****の手術では大変お世話になりありがとうございました。
 


辻野信雄さん十一月七日に無事退院させて頂きましたが、退院後胃の拡張血管からの出血でひどい貧血のため、近隣の**病院で緊急入院いたしましたが、十二月末に退院いたしました。

今年に入り、少しずつ体力回復し、杖なしでも軽く散歩が出来、入院で細くなっていた足が、ふと気づくと筋肉がしっかりとつき出し、嬉しくなりました。


三月になると急に大変元気になり、積極的に外出も仕事も、車の運転も依然と変わらず出来る様になりました。

 

入院前、父が酸素をつけていた姿を見ている近所の友人が、酸素も杖も不要になった父の歩く姿を見てとても驚いています。
 

二月六日には、八十歳を迎えることが出来、これもひとえに米田先生はじめ、皆様のおかげと毎日感謝しております。
 

もちろん減塩食をしっかりやっております。やっとそちらの外来に行く事が出来そうです。

近々予約をとらせて頂きます。

米田先生に助けて頂いた貴重な命を毎日感謝しながら家族と共に楽しく有意義に大切に使っております。

日頃の失礼をお詫びしつつ、此の機会に改めて心よりお礼申し上げます。

遅ればせながらお礼と直近の報告をさせて頂きました。

深谷先生、北村先生にもよろしくお伝えください。

本当にありがとうございました。

 

平成二十五年 四月二十五日
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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