心臓病のなかでも病脳期間つまり病気で悩む年月が長い病気では患者さんも手術がなかなか決心つかず、悩みつづけることがまれならずあります。生まれた時から病気をもつ先天性心疾患はその一例です。
下記 の患者さんは心房中隔欠損症(略称ASD)のため長年の熟慮の末、私の外来へ来られました。はるばる岐阜県からお越し下さいました。
永い間待った甲斐があったねと言っていただけるよう、入魂の心臓手術をさせて戴きました。といってもいつもちからが入っており、手を抜いたことはありませんが、要するに喜んでいただけるよう、しっかり頑張りました。もちろん私だけでなくハートチーム、コメディカルや事務職の諸君を含めた拡大ハートチームの努力でした。
痛みが少なく普段の生活に早くもどれるようポートアクセス法というもっともMICSらしい方法で、心房中隔欠損症をパッチで閉鎖し、三尖弁閉鎖不全症を三尖弁形成術で手直しし、かつメイズ手術で心房細動を直しました。創は乳腺に隠れてほとんど見えないものになりました。副次創もほとんどないためお風呂に入っても心臓手術を受けたとは思われないレベルになりました。
心房中隔欠損症(ASD)は心臓手術のなかでもっとも簡単な手術と言われていますが、なぜか事故や訴訟が起こりやすい疾患とも言われています。やはりどんな病気に対してもちからのこもった入魂の手術が大切と思います。
お元気に、笑顔で退院していかれる患者さんのお姿をみて、理屈抜きでしあわせな気分になれました。私もまだ初心を忘れていないのかもしれません。
以下はその患者さんからのお便り(メール)です。またお会いしましょう。
*********患者さんからのお便り********
高の原中央病院 かんさいハートセンター
米田先生
今年1月8日に先生に手術をしていただきました岐阜県の**です。
半年が過ぎ、体調もずいぶんよくなっております。
遅くなりましたが先生をはじめ、
手術にかかわって下さった皆様に御礼が申しあげたくお便りしました。
手術から入院生活まで本当にお世話になりました。
心より感謝いたしております。
心房中隔欠損症で長年不安を抱えておりましたが、
やっと手術を受けることが出来ました。
先生にめぐりあえたこと、本当にうれしく思います。
心臓手術となるとやはりとても大ごとで、
なかなか踏ん切りがつかないものですが、
自分でも不思議なくらい安心して手術を迎えることが出来ました。
昨年10月、健康診断で心房細動を指摘され、やっと決断が出来ました。
以前から、もしも手術を受けるのなら、距離的にも近い
「名古屋ハートセンターにいらっしゃる先生」と決めていました。
それは1~2年前にTVで先生が取り上げられている番組を拝見したからです。
ネットで調べましたら、昨年10月には先生が奈良でハートセンターを
立ち上げるとのことで、すでに名古屋にいらっしゃらなかったのです。
先生のWEBを拝見しました。
素人の私にもわかりやすくいろいろな情報を知りました。
先生のお考えや、手術のことなどを読み、奈良で手術を受けると決めました。
自分で納得して、安心できる先生に手術をしていただくということは、
私の不安を取り除いてくれました。
周りの人には、「よく奈良まで行ったね」
「一人で遠いところは心配じゃなかった?」などと言われましたが、
私としては本当にやっと30年来の不安から解消される。
手術が受けられる。という安心感だけでした。
こんなに穏やかな気持ちで心臓の手術を受けられるなんて思ってもみませんでした。
それはたぶん、先生の手術や患者さんに対する思い、数多くの今までの症例、など
たくさんの情報を拝見させていただいたからです。
どんなに優秀な先生でも、立派な病院でも、
そこで患者さんと向き合う人としての姿が全くわからないのは不安です。
患者ではありますが、一人の人間として尊重されたいと思っています。
私に不安がなかったように、これから大きな決断をすることがある患者さんにも
先生のお気持ちが伝わりますようにと願っています。
そしてかんさいハートセンターがより一層充実することをお祈りいたします。
先生お体に気を付けてますますご活躍ください。
また来年には外来に参ります。
追伸 奈良が故郷のように感じられます。
7月19日
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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