この病院は近畿大学附属病院の第二病院として1999年に開設された。
私にとって母校の大先輩にあたる心臓外科医・城谷均先生が中心になって救急や循環器にちからを入れた内容になった。
城谷先生は患者さんの手術や治療にあたっては頭脳明晰、冷静沈着、有言実行しかし酒を飲むと天真爛漫ときに狂喜乱舞といった心臓外科医で、先天性心疾患の外科治療で多大な成果を上げた方である。
近大奈良病院の開設時、私は京都大学に奉職していたため、城谷先生のご依頼を受け、医師チームを構成しこの新しい病院へお送りした。とくに心臓外科のヘッドには京大グループの中でも実績豊富な西脇登先生に着任いただき、大学としてもしっかりとサポートする中での発進であった。
近畿大学奈良病院は順調に発展を続け、とくに心臓血管外科は大阪や奈良、さらには京都府南部や兵庫県西部まで、もちまえの機動力つまり救急車を活かして緊急のバイパス手術と大動脈解離を中心に大きな貢献をするようになった。
この病院の草創期のサポートに携わったものとして大変うれしいことである。
その後私は京都大学を去り、名古屋ハートセンター等で第一線心臓外科臨床に没頭しながら近大奈良病院の展開をいつも頼もしく見守っていた。
御縁あって奈良の地に高の原中央病院かんさいハートセンターを開設することになり、医療圏は少々違うがおなじ奈良県で地域医療に携わることになった。大変光栄なことと感じている。
立ち上げ期ということで緊急対応できないときには近大奈良病院に患者さんをお願いしたこともすでに何度かあり、こうした地域の病々連携ができるのもうれしいことである。
昔風のパラダイムでものを考えるひとたちの中には、私たちが近大奈良病院とバッティングするのではと心配下さる向きもあるようだが、私たちは全国区のセンターであり、かつ連携重視した地域医療をこなす方針のため問題ないと考えている。
部長の西脇先生のプロ精神は私が個人的にもっとも尊敬しているところであり、今後同先生がご退官されても何らかのご指導を頂ければ幸甚である。
奈良の地が日本でももっとも心臓血管死の少ないエリアになるよう、近大奈良病院にご協力しつつ私たちは微力ながら貢献したく思うのである。
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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