京都きづ川病院は1980年に開設された京都南部の地域医療を担う病院です。
当時私はまだ大学生で、この病院を創られた故・中野進先生を慕って何度かお邪魔したことを覚えています。
開設当時から開業医の先生方との病診連携をモットーにした病院運営で話題になっていました。
中野進先生は医師だけでなく 学者文化人としても有名で、医師の社会におけるあり方を徹底調査し理想像を探った医師の世界という本は今も含蓄深いものがあります。勉強熱心な先生はお忙しいのに同志社大学で社会学を教えておられたこともありました。
文化活動の一端として著名人を招いての学術講演会も京都きづ川病院の開設当初から頻繁に開催され、一味違ったものがありました。
まだ留学中の1995年ごろだったと思いますが、そのきず川病院で講演させて戴いたこともあります。まだ駆け出しのころで「講演」では僭越ですと申し上げたところ、「ランチセミナー」ならどうだいと言われてそれでもまだ恐縮ですとお答えしました。それじゃ「ティタイムセミナー」でどうかと言われてそれでお願いしますと厚かましくお引き受けしたのを覚えています。講演のあと建設的なご意見を多数いただき、大勢で記念写真を撮って頂き感動したのを覚えています。
京都きづ川病院はその後ご子息で脳外科医の中野博美先生が継承され、発展し現在に至っています。中野博美先生は順天堂大学の名物教授・石井先生のもとで腕を磨かれたエキスパートです。
私が京大病院で勤務していたころは京都の救急体制の充実のためにいろいろとご指導いただいたのも懐かしい想い出です。
私が京大を去って名古屋ハートセンターを立ち上げてからは遠方ゆえしばらくご無沙汰しておりましたが、
2013年10月に高の原中央病院かんさいハートセンターを立ち上げてからまたご厚誼を頂くようになりました。
2015年1月からかんさいハートセンターが心臓血管外科専門医制度の関係で京都府立医大の関連施設になってからさらに親しみが増し、先日もそのご挨拶に行って参りました。
中野博美先生は周辺部の病院と協力して発展することをさまざまな観点から考えておられ、これぞ地域医療、素晴らしいと思いました。
これから京都府南部と奈良県北部の地域医療できづ川病院のお手伝いができ、より多くの患者さんの救命ができればうれしいことです。とくに心筋梗塞がらみの心不全や心室中隔穿孔、あるいは大動脈瘤や大動脈解離などでもお役に立てると思います。もちろん傷跡のちいさい弁形成術や弁膜症手術では他でできない心臓手術が提供できるでしょう。
京大病院時代には小回りが利かず足腰の弱い国立大学病院の特徴からあまり貢献できませんでしたが、これからは24時間走り回れる病院の利点を活かした病々連携ができるものと楽しみにしております。
患者さんたちにおかれましては、こうした病院間の連携や協力で、より便利でより高度な医療が受けられることを知っていただき、病気になっても諦めることなく、ご相談頂けましたら幸いです。人間、「生きてなんぼのもの」と思います。そしてさらに楽しく生きることを目指して戴ければと思います。皆で地域医療を発展させたいものです。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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