━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いい心臓・いい人生 【第六十八号】あけましておめでとうございます
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行:心臓外科手術情報WEB
https://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:米田正始
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
皆様、新年あけましておめでとうござます。
今年もよろしくお願い申し上げます。
昨年は私にとって大変動の一年でした。
郷里にハートセンターを立ち上げて地元にご恩返しをと努力していたのですが、重症患者さんや
、大きな手術ができない状況となり、そこに居る意味がなくなったため異動いたしました。確か
に足腰が弱い病院ではいくら指導してもプロフェッショナルなひとたちばかりではなく、質の担
保ができないため、心臓手術はごく簡単なものに限る、あるいはやらないのが良いと思うように
なりました。その分、超急性期病院の熟練チームが引き受ければ患者さんのためになるからです
。
異動先はいくつか候補地がありましたが、実家の都合でなるべく奈良県から近いところで、かつ
病院として機能が高い、患者さんを救命する超急性期病院にふさわしいところということで野崎
徳洲会病院にて手術することになりました。
野崎徳洲会の中川院長、平井部長はじめ関係の先生方に厚く御礼申し上げるとともに、野崎での
手術・勤務を勧めてくださった仁泉会病院の伊泊理事長にも感謝申し上げます。
これまで仁泉会病院で行っていた外来は火曜日と木曜日の午後に絞って続け、他の日時は野崎徳
洲会で手術や指導をすることになりました。
結果的には超急性期病院と、それよりややゆったりした急性期―慢性期病院とのコラボの形とな
り、それぞれの長所を活かして患者さんをお守りしやすくなりました。
野崎で仕事を始めて3か月が経ちますが、すでに急性大動脈解離や大動脈瘤破裂などを中心に多
数の緊急手術に関与し、さらにトップセンターでも断られた拡張型心筋症の患者さんも手術を乗
り切り、体力を回復させつつあります。また傷跡が目立たないMICS手術を僧帽弁形成術だけでな
く大動脈弁形成術などにも使えるように進化しました。一般に難しいと言われるMICSでの大動脈
弁置換術は当院ではすでにルーチン手術になりつつあります。左房粘液腫のMICSでの切除や巨大
左房に続発する血栓症や心房細動などもMICSで治すことができ、これからより多数の患者さんた
ちのお役に立てそうです。
以前の病院では実施できなかった下肢虚血ASOへの血管新生・再生医療も野崎徳洲会にて現在建設
中の研究棟がオープンする本夏から準備開始できそうです。時間はかかりましたが、結果的には
より多くの方々のお役に立てることになるでしょう。
一方、実家の米田医院が父の高齢化のため休院となりました。永い間この医院を支えて下さった
患者さんたちにご不便をおかけして誠に心苦しい限りですが、何かお困りの際にはご連絡頂けれ
ばお世話させて頂きます。一部の患者さんたちは仁泉会病院の私の外来へご相談に来ておられま
すが、やや遠方のためお越しになれない方々には手紙やメールなどでもご連絡を頂けましたら幸
いです。
このように私にとって大変動の一年でしたが、心臓外科につきましては結果的には大きな進歩を
果たした一年になりました。
この間、ご支援やご指導を賜った皆様方に厚く御礼申し上げます。
末筆ながら皆様方のご多幸とご健勝を祈り上げます。
敬具
平成28年1月1日
米田正始 拝
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright (c) 2009 心臓外科手術情報WEB
https://www.shinzougekashujutsu.com
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。