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いい心臓・いい人生 【第七十一号】大動脈解離と自動車事故
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発行:心臓外科手術情報WEB
https://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:米田正始
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拝啓
明日から3月、三寒四温の言葉どおり、寒さと温かさが交互するこの頃ですが、皆様いかがお過
ごしでしょうか。
さて最近また悲惨な交通事故が大阪で起こりました。
当初はいったん止まったクルマが暴走したことから、事故というより事件を思わせたのですが、
結局運転者の方が大動脈解離を起こしてまもなく心臓の周りに血液が貯まり、心臓を圧迫して心
臓が動けない状態つまり心タンポナーデになられたためと判明しました。
こんな恐ろしい病気がいつ自分に起こるか心配だし、ましてクルマの運転中に起これば多数の人
たちにご迷惑をおかけすることになる、そう考えられた方も少なくないと思います。
またこの2月初めのスキー場衝突事故で女児が亡くなった原因が衝撃による大動脈解離と心タン
ポナーデであったという記事を想いだされた方もおられることでしょう。
大動脈解離は毎年多数の方々を襲う病気です。年間数千人以上の方が解離になるとも言われてい
ます。つまり他人事ではないのです。
奇しくも私が昨年秋から勤務しております野崎徳洲会病院では弁膜症や狭心症その他に対する心
臓手術に加えて、連日、大動脈解離の患者さんが来院され、緊急手術を行っています。そしてそ
のほとんどをお助けしています。そうした経験の中であと少し早く病院へ来て下されば助けられ
たのに、というケースもあります。今回のクルマの事故も同様で、あと一瞬早く対応されれば事
故にならずに済んだのに、と思うところがあります。
ということでこの大動脈解離による自動車事故を、どのようにして予防するか、あるいはせめて
悲劇を防ぐかをオールアバウトの健康欄に載せました。
大動脈解離は早期発見できないのか?―大阪・暴走事故
ご高覧いただけましたら幸いです。
なおこのメールマガジン「いい心臓、いい人生」70号でご紹介しました、上述のスキー事故もご
参照ください。
インフルエンザが流行っています。どうかお体を大切に
敬具
平成28年2月29日
米田正始 拝
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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