Aさんは70代 女性ですが、大動脈弁狭窄症のため心不全となり来院されました。昨今ではよくある心臓弁膜症です。ある程度のご年齢になれば、動脈硬化が全身に起こり、弁にも同じ変化が起こることがあるからです。
ところがAさんは慢性腎不全をお持ちで、くわえて肝硬変まで合併していました。そのため立派な大学病院でも匙を投げられギブアップ状態でした。
大事なことを「肝心な」と言いますが、大切な肝も腎も心もすべて危険な状態でした。
かんさいハートセンターを立ち上げてまもないころのことで、最初はこんな重症の心臓弁膜症を手術したくないという気持ちがありましたが、このままでは死んでしまう一歩手前でしたので手術いたしました。
お元気になり退院されましたが、こうした現代病の塊のような患者さんが弁膜症で来られる機会は増えました。今後よりしっかりと各科協力と全身サポートのもと、心臓手術を進めて行きたいものです。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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