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いい心臓・いい人生 【第128号】 Mitral Conclave(僧帽弁国際シンポ)にて
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発行:心臓外科手術情報WEB
http://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始
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恒例になったこの僧帽弁シンポジウムに参加してきました。2年に一度のシンポですでに5回目のため早10年が経ちます。5回とも皆勤で発表して来ました。
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世界の僧帽弁オーソリティが集まるため内容も豊富で、何より直接議論ができ本音が聞けるという隠れたメリットもあり大いに活用させて頂きました。
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時代の流れでカテーテルによる大動脈弁や僧帽弁の治療にかなりのセッションが当てられていました。こうした方法は患者さんの状態や年齢によってうまく活用すれば心臓手術と住み分けや併用もでき、治療成績の向上に繋がるため悪くないと思いました。
日本はデバイスラグのため新しい道具がすぐには使えず、とりあえず今後の方向性を考えるという役立て方であったのは残念ですが。
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外科手術の方ではいつも通り、様々な状況にあわせた手術特に弁形成術を見たり討論することができました。特に新しいものはありませんでしたが、毎回完成度が上がっていると思いました。
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私自身の発表は、事務局の手違いで2つの発表のうち1つがプログラムに載っておらず、会長のアダムズ(David Adams)先生に聞いてみたところ、平謝りして早速プログラムの中に入れてくれました。それが虚血性僧帽弁閉鎖不全症のセッションでの講演でした。
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私が発明・改良した2つの手術つまり乳頭筋最適化と心尖部凍結型左室形成を組み合わせたもの(Dual Repair)発表でしたが、欧米特に北米ではこれほど重症の患者さんに手術はしないためちょっと飛びすぎてピンと来なかったかも知れません。しかし欧米といえども心臓移植には数の限りが強いため、看取りになる患者さんが多すぎるという現実があり、後で色々なご質問をいただきました。
これから日本発の心臓手術で世界に貢献できればと思いました。
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と思っていたら、早速トロントの旧友から話があり、私も昔大変お世話になったトロント大学の先生がひどい虚血性僧帽弁閉鎖不全症・虚血性心筋症になってどうにもならず、日本まで手術を受けに行きたいとご本人が希望しているということで、もしお役に立てるならこんなに光栄なことはないとお返事しました。かつて自分を教え育ててくれた恩師に、弟子がここまで成長したことをお見せしたいものです。
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この僧帽弁国際シンポは今回もニューヨークで開かれ、学会の後は街を散歩しました。地元の人が行くような普通のレストランでヤンキースの野球を見ながら大型のハンバーガーを食べる(美味!)、隣の人たちは大声ではしゃいでいる、アメリカいいなあと思うひと時でした。
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令和1年5月13日
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医誠会病院心臓血管外科スーパーバイザー
心臓血管外科専門医・指導医
米田正始 拝
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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