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いい心臓・いい人生 【第140号】 コロナ肺炎(COVID-19)に負けない対策その2
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発行:心臓外科手術情報WEB
http://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始
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前回5月にコロナウィルス(COVID-19)のお話をしてから3ヶ月近くが経ちました。
状況が改善するのを願っていましたが、最近また悪化していると言わざるを得ない
のが残念です。今は第二波の真っ只中ですね。
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緊急事態宣言が解除されてから、人の動きがまた活発になり、ご存知のように感染者
は急増しています。これは夜の飲食街での3密や、PCR検査の普及で発見率が上がった
ことも要因のようです。しかし要因が何であれ、感染者が急増しているのは、一般の
方々とくにハイリスクの皆さんには心配なことです。
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前回のメルマガで感染予防策のポイントをいくつかまとめました。
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1.飛沫感染の予防ということで三密を避け、マスクを使う。
2.接触で感染することも多いため、なるべく触らず、頻繁に手を洗う。
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前回お書きしました工夫に加えて、コンビニやスーパーに行くときに、もし買い物の
量が少なければ買い物かごは使わない(かごの取っ手にコロナウィルスがついている
かも)か、アルコール消毒剤を手につけてからかごを持つ(かごの取っ手も消毒され
る)ようにしましょう。
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残念ながら楽しい飲み会や食事会、パーティはまだ危険です。
参加者に一人でもコロナウィルス感染者がおられれば、その会はクラスターの集まり
になってしまいます。
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家の中を消毒する必要はないか、よく聞かれます。私はそこまでは要らないと思います
が、スマホなど外へ持ち出す物品は帰宅時にアルコールで拭いて消毒する意義はあると
思っています。
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治療に使う薬については、まだ特効薬は出ていません。
アビガンやアクテムラは期待したほどの成果が出ていないようです。まだダメと決まった
わけではありませんが。オルベスコ吸入薬やフサン点滴あるいはデキサメサゾン点滴は
重症化を防ぐには有用なようで、よりうまい使い方、つまり適切なタイミングと量が
はっきりすれば大きな力になるでしょう。レムデシビルは有用なようですが、これからの
展開が期待されるところです。これらの経験量の蓄積効果でしょうか、ICU(集中治療室)
に入った重症患者さんの死亡率が2月ごろの50%から5月には40%まで下がったと
いう報告がヨーロッパでありました。まだまだ高い死亡率ですが、治療は進歩していると
いう印象です。
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今後の展望としてコロナワクチンが期待を集めています。SARSやエボラ熱などのワクチン
もできていない状況で本当にコロナのワクチンができるのだろうかという意見や、ワクチン
に効果があっても数ヶ月しか持たないという恐れもあり、これからの努力かと思います。
しかし抗体の量だけでは測れない、別の免疫(たとえばキラーT細胞など)もあるという説
があります。これが新たな対策のきっかけになると良いのですが。
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糖尿病や太り過ぎがコロナ肺炎になりやすいというデータもあり、適正な血糖値コント
ロールと、無理のない範囲での体重調整は一考に値するのかも知れません。タバコはこの
機会に止めるのが理想です。
皆さんには上記の地道な予防努力を油断なく続けていただき、その上はあまり心配しすぎ
ず、動いて食べてという基本を実践いただければと思います。
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令和2年8月6日
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米田正始 拝
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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