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いい心臓・いい人生 【第144号】 コロナの話(7)
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発行:心臓外科手術情報WEB
http://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始
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長い梅雨が関西ではようやく明けました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
コロナの蔓延は相変わらずで憂鬱な空気が続いています。
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最近気になることの一つはコロナワクチンを受けない方、とくに若い方々が増えているという事です。
彼らの言い分は、コロナにかかってもいのちの心配は少ない、ワクチンの副反応(副作用)がSNSなどで話題になっている、つらい思いをしてまでわざわざワクチンを打つ必要が感じられない、などなどです。
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ある意味気持ちがわかるところもあるのですが、インド株はじめ変異株では若者といえども死亡者が増えていること、副反応の多くは危険性がないこと、それ以上にワクチンを受けることは若者が自分だけでなく家族や恋人・友人あるいは周囲の人たちを守るために重要であるということです。
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SNSというのは言いたい放題のことがよくあり、視聴率を高めるために危険でもない副反応を大袈裟に述べているケースがあることを知って下さい。
副反応で注射部が多少痛むとか腫れる、発熱するなどは確かに楽しいことではありませんが、短期間のことであり危険性もありません。コロナそのものにかかった時の危険性のほうが遥かに大きいことは皆さんご存知のはずです。
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言論の自由はこの上なく大切で尊いものですが、だからと言って市民に誇張情報を与えて犠牲者を増やすようなことはあってはなりません。
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ただ医療者としてはワクチンのアレルギー反応とくにアナフィラキシー(アレルギーのつよいもの)にはお互い皆で十分に注意し対応すべきと思っています。インフルエンザなどのワクチンや、ふつうの風邪薬でさえアナフィラキシーで亡くなる方がまれながら存在するからです。アレルギー、アナフィラキシーは予測できないことがあるのです。
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それらを考え、ワクチンはご自分はもちろんお互い皆のためにも必ず受ける、しかしアナフィラキシー対策(ワクチン摂取後30分はその近くで待機し、1日以内は蕁麻疹や気分の悪さがあれば病院へ行くなど)は必ず実行する、というのが大切です。
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最近の動向として、若い方のコロナ感染が急増しており(というより新規感染者の多数が若い方になっています)、死亡者も出ています。若い方々のご理解とご協力が必要なのです。
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コロナ禍が続き、もうこんな不自由な生活は嫌だ!と言われた方もおられます。しかし悪いニュースばかりではありません。たとえばファイザーワクチンのあと半年経ってもリンパ節の中の記憶B細胞の数は減っておらず、体はコロナ臨戦態勢が維持できているというアメリカの研究成果が話題になっています。まだこれからの研究成果待ちとはいえ、うまく行けばワクチンは年一回とか何年かに1回で済むなどの可能性さえ出て来ています。
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皆ではやくコロナ禍を過去のものにしましょう。
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令和3年7月18日
米田正始 拝
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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