いい心臓・いい人生 【第146号】 新型コロナの話(9) オミクロン株

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いい心臓・いい人生 【第146号】 新型コロナの話(9) オミクロン株

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発行:心臓外科手術情報WEB

http://www.shinzougekashujutsu.com

編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始

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本格的な冬の訪れを感じさせるこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

新型コロナはあの恐ろしい第五波のあと、専門家が不思議と言うほどおさまっています。1日の新規感染者130人台というのはかつての1日2万人を超えていた夏頃と比べると嘘のようです。

 

そこへ新しい変異株であるオミクロン株の出現です。

すでにヨーロッパなどでは大流行しており、これまでの反省もあってか日本では前向きな水際対策がされ、現在のところは静かです。

 

オミクロン株が最初に報告された南アフリカ共和国からの情報では、夜に多量の寝汗をかくのが特徴で、感染力は強いようですが、致死性つまり重症度はそれほどではないという印象です。

 

学者によっては新型コロナウィルスが次第に普通感冒つまり普通の風邪に近い形になりつつある兆しという考え方もあるようです。重症化するタイプのウィルスが蔓延すると、多くの死亡者が出てウィルスの生きる場所が減る、なのでウィルスは自分が犠牲にならない程度の毒性に落ち着くというのがその根拠です。しかし鳥など他動物から人に移るような変異をしたのではないかという考え方もあり、この場合は毒性は低いとは限りません。これまでも新型コロナが終息していくという考え方はあり、それが現実のものにならなかったという経過からは、当分は油断しないのが賢明です。

 

オミクロン株のコロナウィルスに対するワクチンは、まだ実用レベルにはありませんが、これまでのワクチンでもある程度は効くようです。オミクロン株といえども変異していないスパイクタンパクがあり、その部分を攻めればウィルスは駆除しやすくなるからです。ワクチン効率がやや落ちる分、その効きをもう少し強くする工夫が望ましく、ワクチンの量を増やすか接種間隔を短くするかが考えられ、その意味で近々第3回目のワクチン接種が予定に入りつつあるのは良い方針と思います。

 

もちろんこれまでのコロナ対策つまり、マスク、三密回避、手洗い、うがい、顔洗いなどは続けましょう。

これからの事はまだまだわかりませんが、少し光が見えて来たような気も致します。元の生活にいつ戻ることができるか、不明ですが、新しい人間交流の方法も模索しながら普通の生活の実質回復を目指したいものです。

 

思えば大変な一年でしたが、みなさまが良い新年を迎えられることを祈ります。

 

 

令和3年12月18日

 

米田正始 拝

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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