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いい心臓・いい人生 【第152号】 新型コロナが第5類感染症になって
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発行:心臓外科手術情報WEB
http://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始
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なかなか梅雨が明けず、すっきりしない日が多いこの頃ですが、皆様いかがお過ごし
でしょうか。
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さて猛威をふるった新型コロナ感染症(COVID−19)が先月から特別な感染症扱い
から通常の感染症扱いの第5類となり、医療現場にも変化が見られます。
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これまでコロナ感染で医療者として辛かったことの一つは、コロナ感染で亡くなる方
が元々重症の患者さんでは少なくなかったという現実はもちろんですが、患者さんや
ご家族の自由がおおきく制限されることもそうでした。
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いろんな病気で患者さんは入院されますが、入院中は外来ではできない、強力な治療
ができる場合が多いです。しかし家族と離れて、精神的に弱るという弱点があります。
コロナ以前は、ご家族に頻回に病院へ訪問いただいたり、すこし元気になった患者
さんに短期間自宅で過ごして頂くなどして、患者さんが精神的に回復されるという
ことがよくありました。
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ところがコロナでご家族の訪問も一時外出もできなくなり、人間らしい喜びが奪われる
結果となり、大変つらいものがありました。私自身の経験でも、実父が誤嚥性肺炎で
入院してからコロナが蔓延し、長く会うこともできず、久しぶりに会えたのは無く
なった翌日だったという経験をしてしまいました。そのため、コロナ禍の最中でも、
重症患者さんのご家族には、感染防止に注意して、短時間でも面会をし、最後のひと
ときを一緒に過ごせるようにしていました。
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コロナが第五類になってからは、こうした問題がかなり解消され、ほっとしています。
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しかしコロナがこれで解決し、終わったわけではありません。実際、識者の中にはコロナ
感染がまた増えており、第九波が来るのではと警鐘を鳴らしている方もあります。
外来でも喉の痛みや37度台の軽い発熱で来られる方は現在も少なからずあり、調べる
とコロナ陽性のことがあります。コロナは終わったわけではないのです。
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やはりこれまで通り、ワクチンは受ける、三密はなるべく避ける、マスクは着用する、
手洗いやうがいを励行するなどは続けるのが安全かと思います。
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面倒な時代になったと思われる方も多いと思いますが、人類が感染症と戦ってきた長い
歴史を考えれば、こうした手間で安全がある程度でも確保できるというのは意義のある
ことと思います。
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これから梅雨が明け、本格的な夏になれば、夏らしい楽しみを工夫して持って頂ければ
幸いです。
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令和5年6月18日
米田正始 拝
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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