いい心臓・いい人生 【第157号】 その後の新型コロナ

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いい心臓・いい人生 【第157号】 その後の新型コロナ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

発行:心臓外科手術情報WEB

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編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始

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酷暑の候となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は7月の恒例の日本冠動脈外科学会での発表を終え、一息ついているところです。

この学会では狭心症に対する冠動脈バイパス手術や、心筋梗塞後に発生する心室中隔穿孔(VSP、VSR)、虚血性心筋症、虚血性僧帽弁閉鎖不全症はじめさまざまなテーマで議論が交わされました。私はディベートのセッションで虚血性僧帽弁閉鎖不全症の新しい術式の10年後の成績から、なるべく早い時期に手術すると長期成績がさらに改善することをお示しました。また心室中隔穿孔の手術について、幾つかコメントさせて頂きました。これからを担う若い先生方に少しでもお役に立てればと思いました。

 

さて巷では新型コロナがまだ静かに流行しているという印象で、発熱外来にもちょくちょく患者さんが来られます。その多くは喉の痛みの訴えが中心で、発熱は軽い傾向があり、症状からは普通の風邪と大差ないという印象です。新型コロナ用のお薬も、かつては公費負担のおかげで無料でしたが、今は2−3万円もするため希望しない患者さんが多いです。ワクチンなどのおかげもあってか皆さん軽症で、普通の風邪ぐすりと、十分な飲水で問題なく回復しておられるようです。とくに飲水は重要で、そうでなくてもこの暑い季節で、発汗が飲水を大きく上回ると高度脱水となり熱中症になりかねません。また十分な飲水により抵抗力が回復しコロナウィルスを早く撃退できるのです。

 

普段元気に暮らしておられる方が新型コロナにかかった場合はこのようにして回復しやすいのですが、高齢者や体力が落ちている患者さんの場合は油断できません。これまでも、こうした患者さんがコロナにかかると、肺炎などが続発し、適切な抗生剤を使ってもなかなか元気になれず、体力が尽きて死亡されるといった残念なケースが少なからずありました。

ワクチンや予防策で新型コロナはそう怖い病気ではないという印象を持たれがちですが、抵抗力の弱い方の場合はひとつ間違うと命取りになるのです。

 

こうしたことを皆で銘記し、周囲の体力弱者を守りながら、皆で予防や健康管理をやりましょう。

 

なお猛暑のため十分な飲水と、そして減塩はいつもより軽い目がお勧めです。この機会に普段遠慮がちに食べている塩辛いもの、たとえばお漬物や梅干し、佃煮、ときにラーメンなども、大汗かいた時などを中心に楽しめる、良い季節とお考え下さい。

 

2024年7月18日

米田正始 拝

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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